2021 Fiscal Year Research-status Report
単体複体におけるランダムネスと幾何構造のインタラクション
Project/Area Number |
19K21833
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日野 正訓 京都大学, 理学研究科, 教授 (40303888)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 裕章 京都大学, 高等研究院, 教授 (10432709)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 単体複体 / パーシステントホモロジー / ランダムグラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、研究代表者の日野は、主にランダム単体複体の増大系から定まるパーシステントベッチ数の漸近挙動について、以前の共同研究者とともに考察を行った。特に、ベッチ数の漸近挙動に関する先行研究の手法がパーシステントベッチ数の研究についても有効ではないかという考えを検討した。パーシステントラプラシアンに付随するスペクトル測度の収束に関して新たな障害が発生することと、極限オブジェクトから具体的な情報を引き出すことの困難さが想定以上にあることが分かり、現状では当初のモデルに対する直接の結果は得られていない。そこで方針を若干変更し、まずは極限オブジェクトについて、スペクトル測度に関する再帰公式を確立するという部分に絞って成果を取りまとめる方向で研究を遂行中である。また、ランダムシェルピンスキーガスケットを典型例とするフラクタルについて、エネルギー測度と自然な参照測度との特異性について研究を行った。緩やかな仮定のもとで特異性を示し、これは従前の枠組に含まれない新しい例についての結果となっている。共著論文を執筆し、学会発表を行った。 共同研究者の平岡は、マルチパラメータ・パーシステントホモロジーの非区間型直既約表現の出現頻度に関して、ランダム方体複体モデルを用いた研究を実施した。劣臨界領域における非区間型表現は、大数の法則の極限値として0に収束することが証明でき、その意味において出現頻度が低いことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者においては、その他の業務の増大のため研究時間が充分に取れなかったことと、予定していた研究方針が当初想定していたよりも大きな困難を含んでいることがわかり方針の修正を行う必要が生じたという理由で、進捗がやや遅れている。 研究分担者においては、順調に研究活動を進めている。 総合的に判断して、現在までの進捗状況にはやや遅れが生じていると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年間延長したため、この間にランダム単体複体に関する成果を論文等の形でまとめることを優先課題とする。また、過去2年間は新型コロナの影響で出張を全く行えていないが、今後新型コロナの影響が収まれば出張を行い遠方の研究者と対面で研究連絡を取るなどして、研究活動の活性化に努める。出張を行いにくい状況が続いた場合は、オンラインによる研究推進の充実のため、コンピュータ環境等の整備を引き続き行うものとする。
|
Causes of Carryover |
学内外業務の増大のため研究時間が充分に取れなかったことと、研究方針の遂行に想定以上の時間がかかることが判明し、補助事業期間の延長により対応することにしたことが理由である。 次年度は、新型コロナの影響がなければ、遠方の研究者との対面での情報交換を行うための出張旅費に主に研究費を使用する。出張が困難な場合は、オンラインによる研究推進の充実を目指し、コンピュータ環境等の整備のために主に研究費を使用するものとする。
|
Research Products
(4 results)