2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel method for investigating radical species produced by electron-molecule collisions
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19K21862
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邉 昇 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (90312660)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 原子・分子物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の主眼は、イオンの運動量イメージング技術にレーザーイオン化法を組み合わせ、電子衝突で誘起される分子の結合開裂で生成される高活性中性解離種を分析する新規実験手法の開発にある。レーザーを導入した中性解離種の測定に先立ち、散乱電子と解離イオンとの同時計測実験を用いた解離性イオン化ダイナミクスの研究を継続して行った。これにより、中性解離種の検出を想定した測定条件の最適化を図るとともに、電子衝撃で誘起される分子の解離ダイナミクスに対する知見を蓄積している。中でも二酸化炭素と窒素分子を対象とした実験から、低速電離電子のクーロン場により生成分子イオンのgerade状態とungerade状態に重ね合わせが起こることで、反転対称性を持つ分子でありながらも解離イオンの放出角度分布が移行運動量方向へ偏る非対称性が生じることを見出した。この新たな機構に基づく対称性の破れは、種々の対称分子における解離性電子衝撃イオン化で起こり得る一般的な現象であり、得られた成果を論文として報告している。また、理論からのアプローチとして、CH3ClとCF3Clの電子励起散乱断面積の計算を行った。これら分子の電子励起状態は不安定であり、後続緩和過程によりCl原子が放出されるが、このCl放出は上層大気中におけるオゾン破壊へ関与する過程として興味を集めている。高精度量子化学計算に基づく理論波動関数より求めた一般化振動子強度の移行運動量依存性に基づく議論から、最低励起状態のキャラクターの違いが二つの分子の双極子遷移確率の違いとして表れることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存装置による解離性イオン化を対象とした予備実験の結果、中性解離種のイオン化条件についての再検討が必要になったことと、新型コロナウイルス蔓延による影響などで、中性解離種のイオン化に用いるレーザー導入を目的とした装置改造に遅れが生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
電子衝撃イオン化後の後続解離過程で生じるイオンの運動量イメージングを行うべく、既存装置を改造することで中性解離種をイオン化させるレーザーの導入を可能とする予定である。測定ではパルス電子線を標的分子気体へ照射後に反応領域へパルス電場を印加することで、生成イオンを取り除く。その後、反応領域近傍へ残留する中性解離種をレーザー照射によりイオン化させ、引き込み電極へのパルス電場印加で既存の画像観測型イオン分析器へ導き、その質量と運動量分布を計測する。従来装置を用いた解離イオンの運動量イメージング測定の結果に基づき測定条件の最適化することで、上記手続きによる測定手法を確立し、基本的な分子を対象とした実験を系統的に行うことを目指している。
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Causes of Carryover |
解離性イオン化を対象として既存装置による実験結果に基づく測定条件の精査により、反応領域へのレーザー導入法と使用レーザーの性能に関して再度の検討が必要になったことと、装置改造に遅延が生じたことにより、レーザーの購入が遅れたため次年度使用額が生じた。令和4年度には、レーザーの選定を早急に行い、購入する。
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Research Products
(7 results)