2019 Fiscal Year Research-status Report
磁場中に高速生成されたプラズモイドの自己組織化的配位形成の観測
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19K21868
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
浅井 朋彦 日本大学, 理工学部, 教授 (00386004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 好夫 日本大学, 理工学部, 特任教授 (10126138)
高橋 俊樹 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (10302457)
比村 治彦 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (30311632)
高橋 努 日本大学, 理工学部, 教授 (50179496)
水口 直紀 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (70332187)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 磁化プラズモイド / 高ベータ / 自己組織化 / 運動論効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
定常磁場中に,アルヴェン時間やイオンサイクロトロン周期より高速に,高密度のプラズマを生成するため,一対の逆磁場シータピンチ装置を用いた高ベータプラズモイド生成と,それらを移送,秒速200km超に加速し,衝突させるための実験装置の立ち上げを行った。移送・衝突するプラズモイドの観測のため,赤外レーザー干渉計,多チャンネル可視光トモグラフィカメラ,多チャンネルボロメータ,マイクロ波干渉計,内部磁場分布計測のための磁気プローブアレイなどを開発,実験の準備を進めた。 トモグラフィカメラ,ボロメータについては,画像再構成ソフトの開発を平行して行い,ダミーデータについてプラズマのトロイダルモード数n = 2までの変位を再現できることを確認した。磁気プローブについては,試作機による予備実験を終え,その結果を元に現在プローブ設計を進めている。プラズマ生成・移送装置については,主なプラズモイド加速源である外部ガイド磁場プロファイルについて,コイルを追加補強するなどして最適化を進め,さらにプラズモイドを加速するため,パルス加速コイルの検討を開始した。 また,移送・衝突されるプラズモイドの振る舞いについて,上記の計測を補うため,二次元軸対称抵抗性MHDシミュレーションと三次元MHDシミュレーションの準備を進め,計算を開始した軸対称シミュレーションについては,実験結果と比較検証することで,追加コイルの運転条件を決定,磁場勾配の最適化を行った。 上記の研究実績により,2年目となる令和2年度は,プラズモイドの超音速・超アルヴェン速度衝突実験を開始,衝突による破壊的擾乱の後自己組織化的に形成されるプラズモイドの内部構造やその時間発展を観測する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズモイドの超音速衝突実験に向けプラズモイドの生成・移送実験装置の準備はおおよそ整った。また,二次元MHDシミュレーションによるFRCの衝突の再現も順調に進み,実験条件の決定において強力なツールとなっている。 計測系については,光学計測系の準備は概ね順調に進み,可視光トモグラフィやボロメータなどによるプラズモイドの大域的振る舞いの観測,赤外レーザー干渉計による電子密度計測が可能となった。 一方で,三次元MHDシミュレーションについては,実験では生じない流体的不安定性の発現などにより,プラズモイドの移送・衝突の様子を再現できていない。さらにシミュレーションを担当する分担者の所属機関において,スーパーコンピュータの更新作業などが重なったことから,後れを取り戻すために,令和2年度集中的に作業を行う。 本課題の遂行において重要な役割を持つプラズマ流計測については,イオンドップラー分光計測器の多チャンネル化を目指して設計を開始したほか,光渦レーザーの横方向ドップラーシフト測定システムの構築を分担者・比村治彦が進めている。これに加え周辺プラズマ計測のためのマッハプローブの製作を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
プラズモイドの超音速衝突実験に向けた生成・移送実験装置の立ち上げは順調に進んでおり,これまでに開発された計測器を用いた実験を予定通り遂行する。一方で,作業が遅れている三次元MHDシミュレーションについては,連携先のスーパーコンピュータの運用が開始され次第速やかにシミュレーションおよび計算条件の最適化を進めると同時に,運動論的効果の影響を評価するため,ハイブリッドシミュレーションによる超音速衝突時のプラズモイドの振る舞いの検証を,分担者の髙橋俊樹を中心に行う。 光学計測系の準備は概ね順調に進んでおり,可視光トモグラフィやボロメータなどによるプラズモイドの大域的振る舞いの観測が可能となった。さらに計測環境を強化するため,イオンドップラー分光計測器の多チャンネル化へ向けた設計を開始したほか,光渦レーザーの横方向ドップラーシフト測定システムの構築を分担者・比村治彦が進めている。 また,衝突時にプラズマ中で無衝突衝撃波の形成などが生じる可能性が,中性子計測などにより示唆されている。衝撃波加熱などによる影響が本研究課題の遂行にも無視できないと考えられることから,内部磁気プローブに加え,静電プローブアレイなどを追加で製作し,形成される電場構造やそれに伴う粒子加速などの観測を実施する計画である。 特に前半は,新型コロナウイルス感染症対策による大学構内への立ち入り制限などの影響により実験の遂行が大幅に制限されることから,装置設計やシミュレーションなどを重点的に進める方針である。
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Causes of Carryover |
令和元年度に,速度場測定用の試作プローブを分担者(京都工繊大・比村治彦)が製作し,令和2年度に日本大学理工学部において実験する計画であった。ところが,FRCの速度が想定よりもさらに光速であることが判明し,プローブではなく光渦レーザーの横方向ドップラーシフトを用いれば,より精度よく計測できると判断した。このため,現在,光渦レーザー横方向ドップラーシフト測定システムの構築に入っており,より効果的な研究費の使用のため,構築中の計測系を用いた共同実験の経費として令和2年度執行予定である。
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Research Products
(5 results)