2019 Fiscal Year Research-status Report
Study of quantum optical effect in high-density detector arrays for millimeter-wave telescopes
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19K21873
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日下 暁人 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20785703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 健司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00791071)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ミリ波望遠鏡 / 量子光学 / 光子相関 / 宇宙マイクロ波背景放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ミリ波望遠鏡の検出器アレイにおける光子の強度相関 (Hanbury-Brown & Twiss効果) を理論・実験の両面から研究する事である。次世代宇宙マイクロ波背景放射(CMB)観測実験であるSimons ObservatoryやCMB-S4実験は、数万から数十万の検出器を擁するミリ波電波望遠鏡群であり、その焦点面に検出器が高密度に配置される。我々は、このような実験で光子がボーズ統計に従うことによる強度相関が無視できず、また、従来CMB望遠鏡の設計においてこの効果が正しく見積もられてこなかった事を指摘した。本研究においては、この効果の大きさを理論的な側面から、特に偏光に注目して算定し、CMB用の検出器を用いた測定により実験的に検証することを目指している。そして、この成果から得た新しい示唆をもって、次世代CMB実験の設計に改良を加える。初年度においては、理論計算を完成させると共に、実験的測定の準備を進めた。理論計算部分は、ミリ波望遠鏡に関して光子相関の大きさとそのノイズ全体への影響を算出する計算手法を確立、出版論文の準備を進めている。これを論文としてまとめるほか、国際学会での発表を予定している。一方で、実験的測定を行うためのセットアップを作成しており、希釈冷凍機に超伝導ミリ波検出器を設置し、低温黒体光源からの光を測定する測定系の準備を進めている。この測定系を用いた測定を2年度目に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミリ波望遠鏡の検出器アレイにおける光子の強度相関の研究を行う本研究において、二つの目標である理論計算と実験測定について、初年度における目標を順調に達成した。計算部分については、ほぼ研究が完了し、論文出版の準備が進んでいる。また、実験的測定においても、測定のための低温黒体光源の設計や実験用装置の購入が進んでいる。このため、当初の計画に比べ、順調に研究が進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目においては、初年度に完了した理論計算を原著論文として出版する。また、実験的測定を進め、CMB用ミリ波検出器を用いて検出器間のノイズ相関を測定するための冷凍機試験装置を完成させ、光子相関を測定する。国際学会等での成果報告も進める。
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Causes of Carryover |
2年度目の分の物品に関してもある程度先行して実験装置購入などを進める計画を立てていたため、それを含めて初年度分として受領した。しかし、設計等がある程度固まった上での物品購入が賢明と判断したため、先行購入は一部に留まり、残りは2年度目の購入とすることとした。また、旅費についても初年度は使用を抑えることが出来た。2年度目において、物品購入を進めると共に学会発表などを行うためにこれら助成金を使用する予定である。
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