2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of displacement-noise-free neutron/atom interferometer for detecting primordial gravitational waves on earth
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19K21875
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川村 静児 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40301725)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 原始重力波 / 変位雑音キャンセル / 中性子干渉計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、宇宙誕生直後のインフレーション時に生成された原始重力波を地上において検出するための全く新しい手法を開発することである。その方法としては、以前に研究代表者らが考案した変位雑音キャンセル法に、中性子干渉計あるいは原子干渉計を組み合わせて、低周波帯において感度を著しく改善することが可能であるかどうかを理論的・実験的に見極める事であった。 2019年度は、まず、中性子干渉計と原子干渉計の調査から始めた。それぞれのシステムをに専門に取り組んでいる研究者らと議論をし、それらの特性を理解し、変位雑音フリー法との整合性を考慮した結果、変位雑音フリー中性子干渉計を中心に、今後の研究を進めていくことに決定した。そこで、理論面では、変位雑音フリー中性子干渉計の振る舞いを、一般相対性理論に基づき解析した。その結果、変位雑音フリーレーザー干渉計と違い、同じ干渉計で速度の異なる2種類の中性子に基づく干渉計信号のコンビネーションから変位雑音をキャンセルした重力波信号が取得可能であることが分かった。実験面では、変位雑音フリー中性子干渉計の原理実証実験が可能であることに気づき、その実験のセットアップの検討を行った。具体的には、すでに原子力研究所のビームラインにおいて実績のある中性子スピン干渉計を利用し、鏡およびビームスプリッターとしてはスピンスプリッターを用い、アクセラレーター・コイルにより重力波の影響を模擬する。そして鏡の影響はスピンスプリッターの回転振動で模擬する。速度の異なる2つの中性子に対しての干渉計信号のコンビネーションをとることにより、重力波信号を残したまま、鏡の変位信号をキャンセルできることを実証する。現在、必要なセットアップの詳細を詰めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論面においては、速度の事なう2種類の中性子に基づく干渉計信号のコンビネーションから変位雑音をキャンセルした重力波信号が取得可能であることが分かるなど、予想以上の進展があった。 実験面では、変位雑音フリー中性子干渉計の原理実証実験が可能であることに気づいたという大きな成果があったものの、具体的な実験はまだ開始できなかったという点で、おおむね順調、あるいは若干遅れていると言える。 これらを総合的に判断すると、全体の研究としては「おおむね順調に進展している。」と言えるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
理論面においては、変位雑音フリー中性子干渉計の原理についてより詳細に検討を行い、その結果を論文にまとめる。 また、実験面においては変位雑音フリー中性子干渉計の原理実証実験を行う。具体的には、すでに原子力研究所のビームラインにおいて実績のある中性子スピン干渉計を利用する。鏡およびビームスプリッターとしてはスピンスプリッターを用い、アクセラレーター・コイルにより重力波の影響を模擬する。そして鏡の影響はスピンスプリッターの回転振動で模擬する。速度の異なる2つの中性子に対しての干渉計信号のコンビネーションをとることにより、重力波信号を残したまま、鏡の変位信号をキャンセルできることを実証する。
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Causes of Carryover |
変位雑音中性子干渉計の原理実証実験を行うための詳細検討に時間がかかったため。
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Research Products
(1 results)