2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K21877
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩下 芳久 京都大学, 複合原子力科学研究所, 特任准教授 (00144387)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
不破 康裕 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究職 (00817356)
栗山 靖敏 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (60423125)
頓宮 拓 京都大学, 化学研究所, 技術職員 (10397523)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2025-03-31
|
Keywords | 微小磁場シールド / 超伝導 / マイスナー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁場は多くの物理研究で重要な位置を占め、多くの物理実験の測定項目では微少磁場の制御を必要とする。超伝導加速空胴は小電力で高電界発生が可能だが、素材のニオブは第II種超伝導体であり、超伝導転移時に周囲磁束を捕捉すると運転時の損失が増加するため微少磁気遮蔽が重要である。更なる省電力化を目指す際、微少磁気遮蔽の強化は必須である。そこで、極低温における微小磁場の効果的遮蔽が重要となってくる。従来、磁気遮蔽には高透磁率磁性素材が使われるが、極低温用の素材も極低温、微小磁場領域では透磁率が下がり、磁気遮蔽効果が薄れる傾向がある。また、機械的歪みを嫌うなど取り扱いが容易ではなく、高価である。そこで、完全反磁性となる超伝導体のマイスナー効果に着目して微少磁場の遮蔽効果の研究を始めている。 高感度のAMR(Anisotropic-Magneto-Resistive)型の3軸センサーを選出し、5個の3軸センサーを極低温下で駆動して、それらの信号を多重化により電源含め、8本のケーブルで室温側に持ってくることに成功している。極低温下でFluxGate計測器の出力と比較したところ、ほぼ同レベルの信号が得られることを確認した。このシステムでNbシート表面での磁場分布測定セットアップを構築し、温度勾配を与えながら超伝導転移させる予備実験を行ったところ、温度勾配に比例する表面磁束変化が見られた。さらに温度勾配を付けるための改良を行った。試料の種類を増やして系統的な実験の準備中である。いっぽう、磁束排斥の素過程の理解に重要な超伝導体の侵入長の簡易な測定研究のために素性の判った試料を準備中である。 最近、時空反転対称性の破れの探索のための偏極核標的実験において、この種の磁気遮蔽が必要なことが判り、これへの応用の検討を始めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-2019の影響で実験試行に遅れが出て、また、これまで使ってきた京大の実験場所からの撤収及び、阪大RCNPの設備での実験継続のための移設作業や再立ち上げに時間をとられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
COVID-2019の余波で遅れていたが、それぞれ、要員確保などの対処を行い、実験推進の遅れを取り戻す。 研究の継続のため阪大RCNPへ移設した実験設備を用いて実験を進める。 Nbシート表面での磁場分布測定セットアップの構築を完了し、超伝導転移時の磁束排斥効率の、温度勾配や冷却速度、周囲磁場強度、Nbシート素材の種類や、素材を変えた測定を行う。これには、システマチックに温度勾配を付けるよう改良を行い、試料の種類を増やして系統的な実験を行う。 また、マイスナー効果発現時の磁束排斥の素過程の理解に重要な超伝導体の侵入長の簡易な測定のために、素性の判った試料を用いて測定方法を確立させる。 時空反転対称性の破れの探索のための偏極核標的実験において、この種の磁気遮蔽が必要なことが判り、これへの応用の検討をすすめる。
|
Causes of Carryover |
COVID-2019の影響で実験試行に遅れが出た。また、これまで使ってきた京大の実験場所からの撤収が必要になったが、交渉により、阪大RCNPの設備での実験継続が可能になっている。このための移設作業や再立ち上げに時間を要し、まだその影響が残っている。研究を再開し、実験の目処が付いたため、これを継続する。
|