2020 Fiscal Year Research-status Report
低温光学計測の革新的な多様化をもたらす大口径熱遮断光学窓の実現
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19K21883
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金田 英宏 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30301724)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 低温光学系 / 光学窓 / 宇宙赤外線観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
低温光学試験に使用するために、He-Neレーザー波長だけを通す熱遮断光学窓の設計を進めた。設計方針は、誘電体干渉膜と溶融石英基板を組み合わせることで、紫外から遠赤外線の波長域を3桁以下に落とすものであり、前者によって波長633 nmのナローバンドフィルターを形成し、波長10ミクロンまでの熱リークを落とす予定であった。また、後者によって波長300ミクロンまでの熱リークを遮断する予定であった。この方針を光学メーカーと議論した結果、透過させない波長部分での光のリークがうまく抑えられないことが分かったため、熱遮断光学フィルターの設計方針の変更をせざるをえなくなった。 並行して、既存の低温試験チャンバーの整備を進め、温度10 Kまで冷やせることと、低温光学測定時に冷凍機の擾乱が問題にならないことを確認した。本光学試験に供するための鏡を製作し、従来のレーザー干渉計を用いて鏡面の計測を行った。続いて、この鏡を測定するためのCGH設計を行い、実際に製造したCGHを用いて干渉計を構成した。この干渉計を用いた光学計測を常温にて実施し、得られた結果と従来のレーザー干渉計で得られた結果を比較して、矛盾がないことを確認した。その後、低温に冷やして光学測定を実施した。今後は取得されたデータを参照データとして、熱遮断光学窓を用いた結果との比較検討を行う。なお、実験に使用するHe-Neレーザーの出力が弱くなっていたため、新しいものにリプレースした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
He-Neレーザー波長だけを通す熱遮断光学窓の設計を進めた結果、透過させない波長部分での光のリークがうまく抑えられないことが分かったため、フィルターの設計方針の変更をせざるをえなくなった。このため、今年度中に製造に入ることができず、計画遅延を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者および光学メーカーと議論して、フィルターの設計方針の変更を行う。誘電体干渉膜について何種類かのアプローチを試す。複数の溶融石英窓の透過率を実測して選別したのちに誘電体干渉膜を蒸着し、できるだけ速やかに製造に進む。これまでに実施した鏡面の光学計測をもとに、熱遮断光学フィルターを導入して、同じ測定を繰り返し、両者の結果を比較する。
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Causes of Carryover |
実際にフィルターの設計を始めると、透過させない波長部分での光のリークがうまく抑えられないため、フィルターの設計方針の変更をせざるをえなくなり、何種類かのアプローチを試さなくてはならなくなった。このため、当該年度中に製造に入ることができず、次年度使用額が生じた。フィルターの製造費および低温真空試験費として使用する。
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