2022 Fiscal Year Annual Research Report
分光・偏光・撮像の3大観測能力を高いレベルで備えた新しいX線望遠鏡の開発
Project/Area Number |
19K21886
|
Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
前田 良知 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (80342624)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 陽子 中央大学, 理工学部, 教授 (70349223)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
|
Keywords | X線天文学 / 偏光 / 分光 / 撮像 |
Outline of Annual Research Achievements |
偏光・分光・撮像の3大観測能力を高いレベルで備えた新しいX線望遠鏡の実証にむけて、像再構成を担うスリット(ARB)の開発、ソフトウエアの開発、望遠鏡部の開発の3つにわけて進めている。 スリット部は今までの金を使った製作法ではなく、今後の設計自由度を上げるため、廉価なガラス製のスリット製作に挑戦した。製作はできたが、エッジの製作精度は金を使った場合よりは低く、角度分解能の制限を緩めた場合のみ適用可能であることがわかった。 望遠鏡部は、光学系の開発を進め、積分反射率を向上させる試みを実施した。試作した望遠鏡モデルに新たな反射体を追加している。ラウエ分光器を用いて、複数の結晶面からのブラッグ反射を検出し、積分反射率が向上することを確認した。修士論文としてまとめている。実際にX線の反射率を測定し、今までは反射できなかった波長も有効な反射率を獲得できるヒントを得た。このヒントをもとに更に積分反射率の向上を目指す。 ソフトウエアについては、データ取得の方法の開発を行い、他プロジェクトと共同で拡散X線光源での光学系の測定方法の開発をおこなった。 また当光学系の将来の観測適用を見据え、恒星フレアからの偏光検出の検討をおこなっている。恒星フレアは磁力線に巻き付いたプラズマからのエックス線放射が行われると考えられている(Kawai et al. 2022 PASJ 74, 477-487)。磁力線に垂直な偏光が検出される可能性があるが、太陽とのアナロジーでその偏光方向の予測ができる。この予測を検証できる望遠鏡のスペックについて検討した。
|