2019 Fiscal Year Research-status Report
深海底における超稠密地震観測を実現する観測手法の変革
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19K21909
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
荒木 英一郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), グループリーダー (60359130)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | シングルボード地震計 |
Outline of Annual Research Achievements |
稠密アレイ観測を計画しうる超小型・ローコストな海底地震観測装置に必要となる技術の開発のため、本年度は、3Dプリンターを用いた筐体と地震計センサーの自動化製作を目指し、3Dプリンター及びCNC工作機械の整備を行い、筐体構造の試作を行った。また、製作した筐体で高圧試験を繰りかえすために必要な加圧ポンプを導入し、耐圧試験水槽と組み合わせた整備を行った。また、シングルボード地震計処理系を可視光通信機能を実験できる仕様で設計した。設計したシングルボード地震計処理系は、3成分地震動、4成分温度、水晶水圧計2式の温度・圧力を同時に観測することができ、リチウムイオン電池1本から自律的観測を行えるもので、データは可視光や赤外光の光通信で読み取ることができる。また、本年度には、可視光通信に用いられる発光素子や受光素子の選定・調達、ボードの一次試作、ボードで動作する地震計処理系ソフトウェアの開発を実施した。一次試作を行った地震計処理系の使用が想定される様々な温度での刻時精度・消費電力の確認試験を行い、地震計処理系の改良設計を実施した。次年度は改良設計を行った処理系をローコストな筐体に組み込み、可視光通信の試験や、観測限界を確認するための神岡鉱山での試験を実施する予定であり、そのために必要な環境が整えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい筐体試作のために必要な3DプリンターやCNC工作機械などの環境整備に時間を要したが筐体の試作を行うことができたほか、シングルボード地震計処理系の設計製作と、試験結果に基づく改良設計まで実施できており、おおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の試作・試験結果で得られた知見に基づき、地震計処理系や筐体構造の試作・試験を繰り返すことによって、深海環境で観測を実施しうるレベルの地震計システムにまとめるよう努力を行う予定である。 一方、新型コロナウイルスに関連した研究所の事業縮小に対応して、試作・実験の作業推進に影響が起こるものと考えられるため、研究期間の延長などの対応が必要となる可能性を検討している。
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Causes of Carryover |
試作試験の結果から仕様変更が必要になったが、納期の都合により次年度に実施することとした。次年度は二次試作を早期に行い、神岡鉱山での陸上評価試験や高圧試験を着実に実施する計画である。
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