2022 Fiscal Year Research-status Report
深海底における超稠密地震観測を実現する観測手法の変革
Project/Area Number |
19K21909
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
荒木 英一郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), グループリーダー (60359130)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 海底地震観測 / 稠密アレイ観測 / ゆっくり地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、過年度に試作を行った地震計処理系をパッケージングし、神岡鉱山での地震計としての観測能力の試験を実施し、最終的に実海域での海底地震観測を行い、海底での観測時刻の同期やデータの海底での可視光通信による伝送実証試験を行うことを目指した。 そのために、まず、試作地震計処理系を3成分のジオフォンと組み合わせ、過年度に調達した可視光をよく透過する13インチ耐圧ガラス球3台にパッケージングを行い、海底面と十分なカップリングを確保して良好な海底地震記録を収録しつつ、海底面に配置した複数の海底地震計の間の可視光通信を可能とするような開口部を持つハードハット内に収納した。 製作した海底地震計を、実験室において試験を行い、海底地震計間の光通信試験を行ったところ、光通信光の受光感度の調整範囲が狭く、環境光がある場合に通信が行えないことが判明した。実海域試験では、無人探査機の潜航中に海底地震計間や海底地震計との通信試験を行う予定であるため、環境光がある場合に通信が行えないことは問題である。そのため、光通信機構の再設計・製作が必要と判断した。当初予定した、神岡鉱山の試験についても、新型コロナ蔓延防止のため、神岡鉱山での外部訪問者の受け入れに制限があり、予定した海域試験航海の前に想定した時期の神岡鉱山内での実施が困難であった、それらの事情から、海域試験の方法の検討は実施したものの、予定した船舶による実海域試験に試験済みの海底地震計を持ち込むことを断念し、翌年度の実施に持ち越すこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナの蔓延防止のため、昨年度に引き続き陸上試験を予定していた神岡鉱山への立ち入りも制限されていたことから、陸上試験を適切な時期に実施できなかった、また、陸上試験の代わりに実験室での試験を行った結果、超小型地震計間の光通信機構に問題があり、改良設計製作が必要であると判明したこともあり、改良設計製作後、機器の組み込み、陸上試験を行って動作確認を行ったのちに実施することとしていた実海域試験の本年度中の実施を断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、海底での超小型海底地震計アレイによる試験観測の実施・データ取得を目指し、海底地震計間の光通信機構の設計変更・製作を行うとともに、既開発製作済みの観測基板とともに耐圧容器内への組み込み、作動確認を実験室で実施する。その後、神岡鉱山等の陸上試験環境での試験観測を行い、次年度後半に南海トラフ海底でのDONET等海底観測点付近での短期間の実海域試験観測を行い、実海底観測データの収集を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナのため、海底地震計完成後に予定していた神岡鉱山、海域での試験が遅れ、未使用額が生じた。 次年度にこれらと、実験室での試験で必要性が判明した光通信機構の再設計製作を実施するための経費として使用する。
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