2019 Fiscal Year Research-status Report
革新的機械システムの創成を目指したリンク機構のトポロジー最適化法の開発
Project/Area Number |
19K21916
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 崇恭 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30598222)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 育夢 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主任研究員 (20535992)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | トポロジー最適化 / 幾何学非線形 / メカニズム設計 / レベルセット法 / マルチマテリアル / 最適設計 / 有限要素法 / スーパーレベルセット法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,トポロジー最適化の考え方を拡張して,機構の創成設計法の構築を研究目標としている.本年度は,その基盤技術として,レベルセット法に基づく幾何学非線形解析手法の開発,幾何学非線形を考慮したトポロジー最適化法の開発,スーパーレベルセット法による複数部材の解析手法の考え方の基礎検討を行った. レベルセット法に基づく幾何学非線形解析手法における幾何学非線形解析は,分担者の渡邊を中心にシステム開発を行った.開発したシステムは,いくつかのベンチマークの結果,妥当な結果が得られることを確認した.レベルセット法への適用は,研究代表者の山田を中心に行い,新しい近似モデルの考え方を提唱した.数値解析の結果,妥当な結果が得られることを確認した. 次に開発した幾何学非線形解析システムに基づいて,トポロジー最適化への展開を行った.最初にエンドコンプライアンス最小化問題に対して,定式化,数値解析アルゴリズムの開発及び数値実装を行った.2次元のベンチマークモデルへの適用を行い,数値解析による方法論の妥当性の検証を行った.その結果,構築した方法論の妥当性を確認できた. また,複数部材問題への展開について検討を進め,従来のカラーレベルセット法やマルチマテリアルトポロジー最適化の問題点をそれぞれ明確にした.これらの問題点を本質的に解決する方法論として,「スーパーレベルセット法」を提唱し,その詳細検討を進めた.次年度は,具体的な数値実装を行う予定であるが,その具体的な実装方法と想定される課題について明確化した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形トポロジー最適化法の構築を主要な開発項目としており,数値実装まで完了することができ,学術論文にまとめられる程度まで進展させることができた.具体的には,幾何学非線形解析を可能とする非線形有限要素法によるシステム開発が完了した.さらには,トポロジー最適化が可能となるように,レベルセット法による形状表現に基づいた解析手法への拡張も行った.また,幾何学非線形解析の妥当性とトポロジー最適化法の妥当性の確認のために,エンドコンプライアンス最小化問題に適用し,いくつかの数値解析を行った.その結果,構築した方法論の有効性を確認できた.なお,数値解析の開発環境はFreeFEM++を利用しているため,来年度のプログラムコード公開した際には,誰でも自由に利用できる環境を整備することができた. 加えて,論文投稿に向けて準備を順調に進めることができた.開発したプログラムコードについてもインターネットを利用した公開に向けた準備を開始することもできた. 数理モデルの開発については,検討段階であるが,文献調査などを順調に進めることができた.来年度の数理モデルの開発における役割分担においても,研究チーム内で話し合い,それぞれの役割分担を明確化することもできた.ただし,詳細な検討にはかなりの時間を要することもわかったため,非線形解析においては,想定以上の進展が得られていることを総合的に考慮して,本研究としての全体の進捗状況は,「おおむね順調に進展している.」と判断するに至った.
|
Strategy for Future Research Activity |
幾何学非線形解析に基づいたトポロジー最適化法の開発については,基礎部分の検討が完了したため,今後は,3次元問題への拡張,大規模問題への展開可能なシステム開発,マルチ部材モデルへの拡張である.3次元問題への拡張は,基礎検討は既に開始しており,概ね問題なく拡張できることがわかっている.令和2年度早々に,数値解析環境の開発を行う.大規模問題への展開についても,線形問題に対して基礎検討が完了しているため,3次元問題への拡張を並行して,令和2年度早々に具体的なシステム開発に着手する.マルチ部材モデルへの拡張については,前年度にスーパーレベルセット法の考え方の構想を提案しており,令和2年度において具体的な理論構築を行う計画にある.その後,それらのシステムの妥当性について検証を行う.各システムの開発が完了後,それらの統合を行う. 数理モデルの開発については,前年度の検討結果を踏まえて,具体的な定式化の検討を開始する.限られた時間の中で検討を迅速に進めるために,商用の数理モデルソフトを援用して,より多くの検討を迅速に行う方法についての検討が完了しているので,令和2年度早々に着手する. また,令和2年度の前半においては,研究チームの打合せを対面で行うことが困難となる状況が想定されるため,インターネットを利用した研究打合せを主体とすることとし,本研究の推進への影響が最小限となるように,今後の研究の推進環境についても共同研究者間で合意を得た.
|
Causes of Carryover |
数理モデルの開発及び検証を次年度を中心に行うことにしたため,計算機の購入を次年度に行うこととした.そのため,当初予定していた計算機用の物品費分が次年度予算として繰り越すこととした.
|