2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノポーラス構造が拓く新奇トポロジカル強誘電性とその力学的機能制御
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19K21918
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋田 隆広 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20534259)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ多孔質材 / 強誘電体 / マルチフィジックス特性 / Phase-Field法 / 第一原理解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
強誘電(圧電)材料は、力場・電場と緊密に作用する性質(圧電応答やヒステリシス応答)を有することからナノ・電気機械・エネルギー科学技術の基幹材料となっている。ナノ多孔質構造を有する強誘電体では、均質材の直線状分極とは異なり、渦状などの位相幾何学的な新しい強誘電分極が発現することが発見された。この位相幾何学的ナノ強誘電分極によって、巨大な圧電効果や多重ヒステリシス応答などの新しい機能が発現しており、これにより様々な科学的技術的進展が期待できる。一方、その実現には、位相幾何学的ナノ分極の特性評価や発現機構の解明が不可欠である。本研究では、ナノ多孔質材中の位相幾何学的な強誘電分極と、同時に発現する機能を解明することを目的とする。さらに、負荷ひずみと新奇分極の連動作用(マルチフィジックス)を究明することで、新機能を自在に発現・制御するための設計基盤を構築する。 初年度である2019年度は、大規模なナノ多孔質材の強誘電分極を解析するため、実空間法よりも効率的な計算が可能なSemi-implicit Fourier Spectral法を現有プログラムに実装し、これをナノ多孔質材解析用に調整した。同時に、効率的に負荷分散/並列処理する計算装置を構成し、ナノ多孔質材の大規模解析を実施する計算システムを構築した。これを用いて、ナノ多孔質材の位相幾何学的な強誘電分極特性を評価・解明した。多孔質材中のナノ穴のサイズや配置によって、発現する分極秩序が依存することを明らかにした。さらに、こうした分極秩序は、外部から負荷される応力にも依存することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究計画は、交付申請書にしめした項目[1]大規模な強誘電分極解析手法と並列計算システムの開発、および、[2]ナノ多孔質材の位相幾何学的な強誘電分極と発現機能の解明であり、実績概要に示したとおり、項目[1][2]を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は当初計画どおり順調に進展しており、2020年度も計画通り、[3]位相幾何学的な強誘電分極の発現メカニズム解明、[4]マルチフィジックス特性の評価・解明、[5]力学モデルの構築と力学設計基盤の構築を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
計算結果データの効率処理により、当初の予定していたものより計算データの総容量が少なく、これを保存するストレージ機器が小規模になったため。一方、次年度はより大規模な解析モデルを扱うことから、計算データは膨大になる見通しであり、次年度実装する計算機器のデータ保存システムに充てる予定である。
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Research Products
(12 results)