2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of "Manufacturing Process by Creatures"
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19K21922
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津守 不二夫 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10343237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏田 耕作 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00368870)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 微細加工 / マイクロ流路 / ガラス / 根 / アーバスキュラー菌根菌 / シリカ焼結体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は植物等の生物を用いた新たな設計・加工プロセスを開発することを目的とする.例えば,植物の根は複雑な枝分かれ構造を有しており,特に末端部では十数マイクロメートルレベルの根毛組織に覆われている.このような精細かつ大規模な複雑構造は現在の加工プロセスをもっても作製することに大きな苦労が伴う.そこで,セラミックスやガラスのナノ粉末材料を用いた新たなアイデアを提案した.粉末材料は水分を含ませると「土」と同じように働く.このセラミックス粉末の土を用い植物を栽培すると,根は粉末材料内部に自身の構造を作りこみながら成長していく.そして成長後,植物ごと材料を加熱・焼成すると,植物は完全に分解除去され,内部に生体とまったく同じ構造を残したセラミックス焼結体を得ることができる. 本年度はガラスナノ粉末材料を用い,ライムギを成長させガラス流路構造を作製する基本プロセスを完成させた.実績は以下の2点に大きくまとめらえる.すなわち,1:ガラス焼成時に透明化する条件の確定,2:アーバスキュラー菌根菌との共生状態を作り,根と菌根菌の両方の構造のガラス構造の完成,である. このように,現時点で精細な3次元構造が加工できることを確認しつつある.次に,生物の成長を制御することを検討したい.基本的に生物の成長は勝手なものであり工学的な利用となじまない場合もある.つまり,設計した構造を得るためには成長の制御が必要である.そこで,よく知られている重力や光に対する反応(屈性)に加え,力学的な刺激による成長制御を試みる. 例えば茎の根元部分に繰り返し力学刺激を与えた場合,地中の根の構造はこの応答に対応し,根元からの応力を分散させようと,植物は成長パターンを変化させる.このような制御結果は構造観察により直接確認できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はガラスナノ粉末材料を用い,ライムギを成長させガラス流路構造を作製する基本プロセスを完成させた.主な進捗は以下の2点である.1:ガラス焼成時に透明化する条件を確定させた.2:アーバスキュラー菌根菌との共生状態を作り,根と菌根菌の両方の構造をガラス内に残した. 前者においては,透明化には2つの観点から評価することが重要であることがわかった.まず緻密化である.微細な気孔が残ることにより,構造は白く濁り透明化できなくなる.もうひとつは,ガラスの材質自体にある.焼結体のXRD分析を行ったところ,ガラス非晶質の結晶化が進むことにより濁りが確認されるようになった.緻密化が確認でき結晶化しない焼結温度域を確定した. また,後者について,主根構造,根毛構造,菌糸構造という異なるスケールを共存させたままガラス構造として得られることを確認できた.特に菌根菌の太さは3~5μm程度であり,提案する加工プロセスの高い解像度についても証明できる成果と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,精細な3次元構造が加工できることを確認しつつある.次に,生物の成長を制御することを検討したい.基本的に生物の成長は勝手なものであり工学的な利用となじまない場合もある.つまり,設計した構造を得るためには成長の制御が必要である.そこで,よく知られている重力や光に対する反応(屈性)に加え,力学的な刺激による成長制御を試みる. 例えば茎の根元部分に繰り返し力学刺激を与えた場合,地中の根の構造はこの応答に対応し,根元からの応力を分散させようと,植物は成長パターンを変化させる.また,ガラススラリー全体に伸縮変形を施すことも検討する.一方向の伸縮により異方的な植物・菌糸の成長を制御できる可能性がある.このような制御結果は構造観察により直接確認できる. また,流路としての利用についても直接的な送液システムを完成させることにより,検証していきたい.
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Research Products
(9 results)