2019 Fiscal Year Research-status Report
抵抗低減効果を有する界面活性剤水溶液の緩和時間に基づく熱と流体のアナロジー
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19K21931
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
玉野 真司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40345947)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 抵抗低減 / 界面活性剤 / 粘弾性流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
流動抵抗低減効果(DR効果)を有する粘弾性流体の「熱と流体のアナロジー(相似則)」は未解明な熱流動現象の一つである。本研究では、流動抵抗低減効果(DR効果)を有する界面活性剤水溶液を円管内流れの壁面スリットより円周方向に一様に注入した場合の、界面活性剤ミセルのネットワーク構造が形成される過程(流れ方向変化)に着目して研究を進める。局所的な管摩擦係数と熱伝達率の多点同時計測を駆使して、抵抗低減率と熱伝達率低減率の流れ方向変化を明らかにし、熱と流体のアナロジーの成立・不成立条件を見出し、緩和時間に基づく新しい熱と流体のアナロジーを提案することを最終的な目標としている。 2019年度は、まず、管内流れにおいて界面活性剤水溶液を局所的かつ円周方向に一様に注入可能な溶液注入機構(スリットを円周上に設けた円錐形状の機構)、ならびに円管内流れの可視化観察および速度場計測(PIV計測)を実施可能な可視化ユニット(円管の曲率の影響を最小化するため、石英ガラスパイプと矩形の石英ガラス流路を組み合わせた機構)を製作した。その後、圧力損失(管摩擦係数)の流れ方向変化を測定可能な多点計測システムを構築し、DRの流れ方向分布を計測した。さらに、一様な界面活性剤水溶液の流れの可視化観察およびPIV計測を実施することで、抵抗低減円管内流れにおける乱流渦構造および乱流統計平均量(平均速度分布、乱流強度分布、レイノルズせん断応力分布)を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した通り、円管内流れの可視化装置、PIV計測システム、界面活性剤注入機構、多点圧力差圧計測システムを構築することができた。水流において、構築したシステムの信頼性を確認した。さらに、従来ほとんど行われていない、一様な界面活性剤水溶液のPIV計測と圧力損失測定の同時計測を実施し、高い抵抗低減率が得られる場合には、レイノルズせん断応力がほぼゼロとなることなどを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに構築した界面活性剤注入機構およびPIVシステムを用いて、注入速度を様々に変化させた、抵抗低減円管内流れのPIV計測を実施する。また、界面活性剤水溶液を注入した場合と一様な場合との乱流統計平均量および乱流構造の比較を通して抵抗低減メカニズムの解明を図り、抵抗低減を得るための効率的な注入方法を提案する。さらに、伝熱特性の多点同時計測により、流動摩擦低減と熱伝達率低減との関係性について調査し、緩和時間を用いた熱と流動のアナロジーの成立の可能性について探求する。
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