2019 Fiscal Year Research-status Report
逆転の発想「風波抑制による気液界面下の乱流混合促進」に基づく赤潮防止策の開発
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19K21937
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小森 悟 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (60127082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高垣 直尚 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (00554221)
松田 景吾 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報基盤センター), 研究員 (50633880)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 風波乱流 / 大気海洋相互作用 / 表面張力 / 乱流混合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海洋や湖沼の表層水を風波の抑制により混合攪拌する新技術を開発し、表層の赤潮や貧酸素化の防止策を提案することを目的としている。その新技術を開発するためのアイデアとして、界面活性剤を水面に散布して風波を減衰させ、平坦化された水面上に吹く風の強い剪断力を利用して水面下の乱流混合を促進させることを考えている。また、界面活性剤の離散的散布と波の減衰効果を利用してLangmuir循環流に類似の強大な縦渦を発生させることにより表層と低層の流体混合をより一層促進させることも考えている。これらのアイデアが実現可能なものであるかどうかを確かめるためには、まず第一に、界面活性剤等による風波の減衰メカニズム自体を解明することが必要であり、風洞水槽実験及び直接数値シミュレーションを用いて風波の発達過程に及ぼす表面張力の効果と減衰した風波気液界面下の乱流構造を調査した。その結果、界面での表面張力に局所的な分布のない均一な変化が生じる場合には、予想に反して表面張力の低下が波高を増加させるなどの興味深い風波に及ぼす影響を明らかにすることができた。また、風洞水槽実験において風波気液界面を風の方向と直交するスパン方向に等間隔で通常の風による風波が作られる部分とメッシュシートにより消波した部分を交互に設置した場合には気液界面下にスパン方向に流動する循環流が存在することが観察された。さらに、この風波乱流場における循環流の存在を数値的に検証するための直接数値計算法を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表面張力を均一に変化させた場合の風波の発達に関する直接数値計算結果と小型風洞水槽実験結果との比較を行った結果、良好な一致が得られ、論文として纏められる段階に達した。また、気液界面に働く剪断力を局所的に変化(部分的に消波)させた場合の気液界面下の循環流の構造を考察するための直接数値計算と風洞水槽実験の準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は昨今の社会情勢により変化する可能性があるが以下の通りである。 ・表面張力の均一な変化が風波の発達に及ぼす研究成果を論文に纏めて発表する。 ・風洞水槽を用いた実験および直接数値計算により風波気液界面に働くシアーおよび表面張力を局所的に変化させた場合に気液界面下に如何なる循環流構造が形成されるかを明らかにする。 ・実際の海洋、湖沼の水面下において循環流による乱流混合が赤潮等を防止できるほど強いものになるかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
感染症流行による出張自粛等により共同実験と研究打ち合わせのための旅費等が不要となったため。翌年度には実験及び計算に必要とされる物品費等として使用する予定である。
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