2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of lightweight artificial muscle with polymer threads and carbon nanotube yarn towards true human support
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19K21946
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
林 靖彦 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50314084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 英俊 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (40345393)
西川 亘 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (80243492)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 人工筋肉 / カーボンナノチューブ紡績糸 / ポリマー糸 / エントロピー弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,細いカーボンナノチューブ(CNT)紡績糸もしくはCNT膜に電流を印加し発生するジュール熱(外部熱刺激源)で,細いポリマー糸が伸長収縮動作をメカニズムとする,低消費電力で大きな伸縮性,高い出力,高い運動適応能力,かつ外部装置の無い軽量性を有する金属フリー軽量複合繊維人工筋肉の実現に向け研究を実施した.具体的には,以下の2つを実施した. 【研究1】大変位・高出力を実現する低電流駆動結晶性ポリマー材料・糸の開発 この研究では,結晶部と非晶質部が数珠つなぎになっており,ガラス転移温度を低く抑え少ない熱量で大きな変位と高出力を併せ持つポリマー糸の開発に取り組んだ.材料を計算科学の力も借り,設計・合成指針の構築を目指した.そして,延伸技術を駆使して,糸径10-50umの極細ポリマー糸作製の技術を確立した.そして,ポリマー糸の物性を,X線構造解析,引張試験から評価を行い,【研究2】の人工筋肉の作製につなげた. 【研究2】ポリマー糸/CNT紡績糸コイル構造人工筋肉の開発 この研究は,【研究1】で開発した大変位・高出力を特徴とするポリマー糸と,熱源の役割を果たすCNT紡績糸とをコイル状にし,CNT紡績糸に通電することで生じるジュール熱で人口筋肉構造の作製した.CNT紡績に投入する電力で発生するジュール熱に追従して,ポリマー糸の収縮が起こり,人工筋肉として動作することを確認した.シミュレーションにより,ポリマー糸/CNT紡績糸コイル構造におけるジュール熱がどのようにコイル内で熱伝達するかについて検討を行い,従来課題であった熱の散逸が抑えられることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画として,①低消費電力で大変位・高出力を実現する高結晶ポリマー糸の作製,②熱の散逸を防ぐポリマー糸/CNT複合繊維コイル型構造を実現することが大きな目標であった. ①に関しては,ポリマーのガラス転移温度を低く抑えつつ,少ない熱量で非晶質部の延伸方向へ短時間に高配向させ,大変位・高出力を実現する,低密度ポリエチレン(LDPE)について検討を行った.計算科学の力も借りて構造の詳細を決定し,溶融紡糸によりLDPE糸の紡糸条件を変え,その物性を明らかにした. ②に関しては,ポリマー糸/CNT紡績糸コイル構造の最適化から,熱の散逸を抑えることに成功し,消費電力大幅に抑えて大変位・高出力の人工筋肉の作製に成功した. これらの結果は,当初の目標を達成しており,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,引き続き【研究1】大変位・高出力を実現する低電流駆動結晶性ポリマー材料・糸の開発,【研究2】ポリマー糸/CNT紡績糸コイル構造人工筋肉の開発を実施する. さらに,【研究3】熱源一体ポリマー糸/CNT膜コイル構造人工筋肉の開発に取り組み,電界紡糸装置により三重管ノズルを用い,ポリマー糸/CNT膜(CNT分散液を用いる)/絶縁層からなる3層コアシース構造の,熱源一体人工筋肉を簡便に低コストで実現する究極的な構造を提案する.
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Causes of Carryover |
消耗品として計上した,CNT紡績糸作製のための巻き取り装置の,スピンドル,回転部品について,研究実施中に仕様の変更が望ましい結論となった.このためこれらの部品は2021年度初旬に導入することとなり繰り越しを決めた. 今年度は当初目標を達成しており,この変更は,当初研究計画には影響がなく,研究計画の変更は行わない.
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Research Products
(6 results)