2021 Fiscal Year Annual Research Report
有機半導体におけるバリスティック伝導の顕在化と分子的制御
Project/Area Number |
19K21966
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鵜沼 毅也 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (20456693)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 共役ポリマー / テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに得られた結果に基づいて,表面電極加工を施した有機半導体薄膜の面内に電圧アンプ経由で1000V程度の高電圧を印加し,励起光パルスの中心波長を約400nmおよび800nmに設定してテラヘルツ放射分光を行った。励起光波長400nmではバンド間吸収係数が大きいため,高いキャリア密度を得やすい一方で薄膜表面付近の局所的な発熱が大きく,試料の損傷・劣化を避けることが難しいという問題が生じた。そこで,励起光波長800nmに対して電極間隔と膜厚の最適化を主に進めた。この励起光波長における吸収係数は小さいので,薄膜表面付近の損傷・劣化を抑えることができる。十分なテラヘルツ放射の強度を得るためには,大きい膜厚の中で励起光を徐々にすべて吸収させ,バリスティック伝導に寄与するキャリアの数を増やす必要があることが分かった。試料を厚くする際に表面の平坦性や電極との密着性を向上させるとともに,テラヘルツ放射の効率を上げるためにソリッドイマージョンレンズを導入することなどを試みている。 また,母体材料中に伝導経路を形成する方法についても昨年度の知見を発展させ,透明で伸縮性をもつシリコン系ポリマーのポリジメチルシロキサン(PDMS)を新たに母体材料として用いた。PDMSの中に導電性ポリマーPEDOT:PSSを分散させた薄膜試料を作製し,テラヘルツ領域の伝導特性を伸縮率とともに世界で初めて報告した。母体材料としてナノセルロースを用いた昨年度の場合と同様に,キャリアはPEDOT:PSSにおける元の性質をそのまま引き継いでいることが分かった。
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Research Products
(4 results)