2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K21969
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
増田 貴史 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (70643138)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | ゲルマニウム / 液体プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、脱水素化により固体の半導体ゲルマニウム(Ge)へ変換可能な「液状の水素化ゲルマニウム」(本研究ではこれを液体Geと呼ぶ)の創出である。その候補として3つの化学構造を検討した。1.五員環もしくは六員環の環状水素化ゲルマニウム、2.鎖状水素化ゲルマニウム、3.可溶性の2次元ゲルマニウムである。本年度はこの3候補材料の前駆体状態から最終構造体への合成に取り組んだ。そして3候補材料のうち、1と2の環状/鎖状水素化ゲルマニウムで目的とするゲルマニウム塗膜を得ることができた。3の2次元ゲルマニウムに関しては、側鎖基を水素化すると不溶性となってしまうために溶液化ができなかった。炭素側鎖で可能性となるが、その際には塗膜中に残留炭素が増えてしまった。従って2次元ゲルマニウムは保留とし、環状/鎖状水素化ゲルマニウムの合成と塗膜評価を進めた。環状物質は5員環と6員環の混合状態、鎖状物質は(GeH2)nの構造でnは概ね3~7程度の混合状態であり、いずれも液体であった。合成物の分離は今後の取り組みとなる。これら化合物のトルエン溶液をスピンコート塗布して800℃焼成した膜のXPS分析したところ、膜中不純物濃度は検出限界以下であり、その組成は99.9%以上がゲルマニウムであることを確認した。焼成温度が低い場合(400-600℃)には、残留水素が最大で20%程度であり、水素化したアモルファスゲルマニウムであった。またラマン分光測定から、標準的な半導体ゲルマニウムと同様のスペクトルを得られた。以上のことより、液体Geとして環状/鎖状水素化ゲルマニウムを合成し、その塗膜の脱水素化により高純度なゲルマニウム膜が得られることを示した。今後はこの液体Geを用いた塗布型半導体Geデバイスの開発に進む。
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