2019 Fiscal Year Research-status Report
自由な身体形態をもつ生物・ロボットのロコモーション:進化の隙間から空想生物まで
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19K21974
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石川 将人 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20323826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 章夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (90232280)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 生物とロボットのロコモーション / モルフォフリー制御 / 空想生物 / 進化生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,現存する動物のロコモーションのありように基づくバイオミメティクスと一線を画すアプローチとして,どのような構造であっても,その身体に応じた移動様式を発現する「モルフォフリー制御(形態によらない制御)」の概念を提唱する.研究の立ち上げとなる今年度は大きく分けて以下のことを行った.(1)モルフォフリー制御の方法論:本着想の基盤としてこれまでに代表者らが進めてきた,2脚,3脚,4脚,蛇行など異なる身体構造に対してあまねく機能している反力フィードバック制御とその関連制御法について,その共通点と差異を仔細に検討して一般論となりうる要素を抽出した.特に,ロボットにおける分散制御と動物における神経生理的背景をつなぐカギである,反射フィードバックについて考察を深めることができたのは大きな収穫であった.(2)空想生物ロコモーションの典型例である人馬一体型(ケンタウルス型)ロコモーションの基礎検討として,下部に位置するウマ型の脚歩行,および四脚歩行と大慣性の上体運動が連成したキリンのロコモーションについて,ともに現生動物の解剖学的知見を踏まえた運動解析を行った.特に前者については,ウマ後脚の筋骨格構造の要点を忠実に反映した準四脚歩行機を開発し,大腿骨相当部分の一自由度で駆動するだけで脚内の各可動部がみごとに連動した歩容が発現する,すなわち身体構造自体が歩容生成のカギを握っていること(3)以上を検証するプラットフォームとしてBLDCモータを採用した汎用4脚歩行ロボットの開発,および身体に埋め込まれた神経基盤を検証するプラットフォームとしての空気圧反射モジュールの開発を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の核となるモルフォフリー制御の,特に古生物ロコモーションとの基礎対比については斯界を代表する専門家と密な意見交換をする機会を得,現存生物にとらわれない移動様式の妥当性・必然性の観点について重要な示唆を得ることができた.また筋骨格構造ならびに反射フィードバックの有用性については原理考察・実機検証ともに順調に進めることができたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討を踏まえ,個別論としての非現存生物(空想生物)のロコモーション研究と,一般論としてのモルフォフリー制御の研究を二本の柱として推進する.前者については,人馬一体型(ケンタウルス型)ロコモーション,大型脊椎動物を想定した大慣性の多脚(六脚以上)ロコモーションにターゲットに焦点を定めて考察を進める.また,物理的・工学的な知見が確立した時点で再度古生物学者・解剖学者との議論を行って,「あり得る」生物としての実現性や妥当性について検証する.後者ついてはこれまでに大きな進展の見られた局所反射フィードバック制御を軸として考察を進める.
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Causes of Carryover |
初年度は問題の基礎検討とオンラインでの意見交換ならびに文献調査が主となったことに加え,研究の進展により次年度に成果発表の機会増と,検証用ロボットのさらなる改良費用等が見込まれるため,一部を次年度において旅費及び物品費として執行することとした.
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Research Products
(3 results)