2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K21977
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 和利 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10563827)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | テラヘルツ波発生 / 光電変換デバイス / 暗号化通信 / コヒーレント検波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、5Gの機能をさらに高度化したシステムへの適用を想定し、高周波電波の特長の利用によりセキュリティ性向上が可能となる無線通信技術の提案とその検証システム実現を目的とする。具体的には二つのビーム状の高周波信号(キャリア周波数100~300GHz)が①特定位置で重なり、かつ②その特定位置でのみAND信号としてもとの信号に復調される、という物理層におけるセキュリティ性を有する無線通信システムを提案し実証実験を行うことが目的である。 本研究のキー技術である、「2つのTHz波どうしのヘテロダイン検波によるAND動作」の原理検証実験を行った。実験系は、まず2つのレーザ光源から光周波数差が300GHzの2つの光波を生成し、合波した後に500Mbit/sで0と1の繰り返しパターンの強度変調をかけて二光路に分岐し、光路間の位相を光遅延器(ODL)で揃えてそれぞれをUTC-PDに入力する。各UTC-PDからは位相の揃った300GHzのTHz波が空間へビーム状に放射される。また別の2つのレーザ光源から光周波数差が310GHzの2つの光波を生成し同様にして別の2つのUTC-PDから位相の揃った310GHzのTHz波がビーム状に放射される。300GHzと310GHzの2つのTHz波は空間を20cm伝送した後、THz検出器でそれらの電界の和のパワーが検出され、10GHzのビート信号が生成される。そしてビート信号の強度(振幅)が2つのTHz強度のANDとなる。300GHz信号を0.75ns、および3.0ns遅延した場合の波形を観測することにより、2つのTHz波が重なり部分がHigh levelとして検出され、その幅が遅延量の違いにより変化していることから、予想通りにAND動作されていることが確認できた。 以上から、本研究で提案している方式の原理検証を300GHz帯において行うことに成功した。
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