2019 Fiscal Year Research-status Report
水処理工程・水環境中におけるサイクロスポーラ原虫の未知動態解明
Project/Area Number |
19K21989
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
原本 英司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00401141)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | サイクロスポーラ / 原虫 / 健康関連微生物 / 水処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,サイクロスポーラ原虫を高感度かつ特異的に検出可能な手法を開発し,それを適用することで,浄水・下水処理における感染性サイクロスポーラ原虫の低減効果と水環境中における汚染実態を解明することを目的としている。 2019年度は,サイクロスポーラ原虫を高感度で特異的に検出可能なリアルタイムPCR法の開発に取り組んだ。研究代表者が以前に開発したInternal transcribed spacer 2(ITS-2)領域を対象としたSYBR Green系の増幅領域周辺を対象に,サイクロスポーラ原虫12株の塩基配列をアライメントし,フォーワードプライマー(19nt)とTaqMan MGBプローブ(17nt)を新たに設計した。リバースプライマーはSYBR Green系で使用するもの(22nt)と同一とした。 開発したTaqMan MGB系の増幅塩基配列長は127bpであり、人工合成プラスミドDNAの希釈列を用いた実験により,高感度・高定量性が得られることが確認された。また,顕微鏡観察によりサイクロスポーラ原虫のオーシストが高濃度で検出された糞便試料からDNAを抽出し,リアルタイムPCR法に供した結果,陽性反応が得られた。さらに,クリプトスポリジウムやジアルジア等の11種類の原虫DNAは増幅せず,特異性にも問題はないことが確認された。 これらの結果に基づき,サイクロスポーラ原虫に対する高感度・特異的なリアルタイムPCR法の開発に成功したと判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の手法(SYBR Green系)よりも特異性が高いTaqMan MGB系に基づいたリアルタイムPCR法を開発することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
サイクロスポーラ原虫の高感度検出に有効なリアルタイムPCR法の構築に成功したことから,今後はこの手法を適用することにより,浄水・下水処理におけるサイクロスポーラ原虫の低減効果や水環境中における汚染実態の解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
試薬類はキャンペーンを利用して購入することで節約を図った。また,雇用している外国人博士研究員が私用で一時帰国したため,人件費の支出が想定よりも少なく,次年度使用額が生じた。この次年度使用額については,リアルタイムPCR法用の酵素をはじめとした試薬類の購入にあてることで,水処理実験の試行回数や,採取する水環境試料の数・採水頻度を増やし,サイクロスポーラ原虫の水処理での低減効果や水環境中の存在実態に関する研究データをより多く取得するために活用する。
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Research Products
(1 results)