2019 Fiscal Year Research-status Report
シェール岩石の元素組成、特にヨウ素濃度に基づいたスイートスポット探索手法の確立
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19K21993
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関本 俊 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (10420407)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | シェール / 頁岩 / 中性子放射化分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで物理的な観点からのみ議論されていたシェール岩石に対し、初めて、元素組成という化学的な観点からシェール岩石を捉えるものである。具体的には、シェール岩石中のヨウ素やその他の元素の濃縮とその濃度に着眼し、従来の調査より得られている、空隙率や透水係数等の物理データとの間に、明確な相関を見出すという探索的性質の強いアプローチを行う研究である。その結果に基づいて、生産効率が高いスイートスポットを探索する新原理の構築に挑戦する。シェール岩石の元素組成は、研究代表者が十分に経験のある中性子放射化分析法で行われる。また上記の着眼点の根拠は、米国地質調査所が発行するシェール岩石標準試料中においては、地殻に存在する岩石に比べて、ヨウ素が2-3桁濃縮していることを、研究代表者らが見出したことに基づく。新しいエネルギー源として注目されているシェール層において、物理データ(【今後の研究の推進方策】に後述)だけでなく、化学的な情報を加えることにより、生産効率が高いスイートスポットを、従来のような試行錯誤に頼ることなく、高い確度で選択することが可能になる。 令和元年度は、ハロゲン及びその他の元素の定量分析を行うシェール岩石試料の選定を行い、それらの粉末化を試みた。その結果、既存の粉砕機では、(中性子放射化分析用の試料としての)粉末化が困難であることが判明したため、今後、新たな粉砕機を用いて、粉末試料の作成を行う。令和二年度は、選定した上記試料のうち、ICP-MSによる元素分析値があるものを中心に放射化分析を行い、分析値を比較する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度は、放射化分析に適した粉末試料を得られなかったこともあり、シェール岩石中のヨウ素の定量に特化した、「同位体希釈法を伴った誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS) による、岩石試料中のヨウ素を定量する方法」の開発を試みた。 この手法は、岩石試料に既知量のヨウ素129 (I-129、半減期: 1. 57E+7 y)キャリアを添加し、アルカリ溶融法(Sekimoto and Ebihara, Anal. Chem. 85 (2013) 6336-6341)における化学分離と同様の方法)を用いてヨウ素(I-129及び、定量するI-127)を含んだ溶液を分離し、それをICP-MSで分析することによりI-129 / I-127比を求め、岩石中のヨウ素(I-127)を定量する、というものである。通常、ICP-MSを用いたハロゲンの分析では、試料の前処理の段階で、ヨウ素を含むハロゲンが定量的に回収されていないために、定量値がRNAAと比べて系統的に低くなる傾向がある(Sekimoto and Ebihara, 2013)。しかし、この手法は同位体希釈法であり、アルカリ溶融の際に、ヨウ素を定量的に回収する必要が無い。そのため、ハロゲンの化学分離の収率を正確に求められるRNAAと同様に、岩石試料中のヨウ素の正確な定量値が得られることが期待される。 現在、ICP-MSによるI-129 / I-127比の測定前の、岩石試料からのヨウ素の化学分離の過程の最終段階において、アルカリ溶融後のヨウ素(I-129及び、定量するI-127)を含んだ溶液からの大量のナトリウムを分離する必要があり、その方法について検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者らが開発した放射化学的中性子放射化分析法(RNAA)を用いて、選定・粉末化したシェール岩石(【研究実績の概要】に記述)のハロゲンの分析を行い、ヨウ素の濃縮をシェール岩石中の化学的特徴として確立する。本研究で行う固体試料中の微量ハロゲンの定量分析は他の分析手段では非常に難しく、かつ、データの信頼性の点でRNAAに勝る方法はない。また、同様の試料に対し、ヒ素、セレンを中心にハロゲン以外の元素分析を行う。ヒ素、セレンは米国地質調査所の地球化学データベースにおいてシェール岩石中での濃縮の可能性が示唆されている。これらの元素の分析は、機器中性子放射化分析法(INAA)により行われる。INAAを用いると、上記元素を含む33元素を定量することが可能である。ここで確認される、ヨウ素以外の元素の濃縮も、シェール岩石の化学的特徴として確立する。 上記を進めることにより、シェール岩石中でその濃縮が確立された元素及びその定量値と、従来シェール岩石に施されてきた調査により得られている物理データ(岩石の空隙率、透水係数、フラクチャリングの際に用いる流体に対する割れやすさ等)との間に、明確な相関を見出し、生産効率が高いスイートスポットを探索する新原理の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
理由:令和元年度に購入予定であった、ガンマ線測定用の自動試料交換ロボット及び、マルチチャンネルアナライザについて、本経費を使用せずに入手したため、それにかかる予定であった経費は、令和2年度の助成金として使用する予定である。 使用計画:令和元年度は、頁岩・シェール岩石試料の粉砕方法について検討した。その結果、当初予定していた粉砕機より高性能な物が必要であることが判明したので、その購入経費に当該助成金を使用する。また国際会議(MARC-XII アメリカ 2020年3月)での発表及び情報収集を1回予定しており、それらについても助成金を使用する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Production of 47Sc, 67Cu, 68Ga, 105Rh, 177Lu, and 188Re using electron linear accelerator2019
Author(s)
Makoto Inagaki, Shun Sekimoto, Wataru Tanaka, Takahiro Tadokoro, Yuichiro Ueno, Yuko Kani, Tsutomu Ohtsuki
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Journal Title
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry
Volume: 322
Pages: 1703~1709
DOI
Peer Reviewed
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