2020 Fiscal Year Research-status Report
都市温暖化適応策体系化の基礎となる全世界の市街地形態の自動推定手法の開発
Project/Area Number |
19K22004
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
持田 灯 東北大学, 工学研究科, 教授 (00183658)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 泰之 東北大学, 工学研究科, 助手 (20789515)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | Local Climate Zone / 衛星データ / 市街地形態 / 都市微気候 / ゾーニングマップ |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 微気候を加味した市街地形態の統一的区分化手法の改良 昨年度は、微気候を加味した、市街地の密度と建物高さに基づく市街地形態の統一的区分化手法の提案とゾーニングマップの作成を実施した。今年度は更に、日本を含むアジアの都市に多い、異なる建物が混在する複雑な市街地を有する都市の形態区分を可能とするため、2種類の区分が混在する市街地に対し、sub-classを有する新たな区分を定義し、提案手法に導入した。また、GISデータを用いて各区分の市街地形態パラメータを算出することで、広域な気候数値解析の地表面境界条件に必要な数値情報を取得した。 2.市街地形態とそこで形成される微気候の関係の分析 昨年度は、日本と中国の5都市(東京、仙台、香港、武漢、上海)を対象に、提案手法を用いてゾーニングマップを作成した。今年度は、作成したマップを用いて、区分毎の地表面温度を分析した。低密、及び高密の区分で、建物高さが高くなるほど、地表面温度が低下する傾向が確認された。更に、水面、自然被覆率、日射反射率の地表面温度への影響を分析した。5都市全てで、緑被率と地表面温度には負の相関関係がみられたが、日射反射率と地表面温度には相関がみられなかった。 3.提案した市街地形態の統一的区分化手法の評価 提案した市街地の区分化手法の評価をするため、仙台を対象とした、ゾーニングマップから作成した地表面の境界条件を組み込んだ気候数値解析を実施し、区分ごとに形成される微気候の分析を行った。また、物理環境評価のみならず、解析格子に流入出する顕熱・潜熱量を移流、乱流拡散、人工排熱の各成分に分けて評価する熱収支構造も分析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の「2.市街地形態とそこで形成される微気候の関係の分析」は、当初計画では令和3年度に実施する作業であったが、本年度実施した。以上より、当初の計画以上に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
提案した区分毎にそれらの微気候との関係について検証するため、仙台以外の都市についても、広域の気候数値解析を実施し、気温、地表面温度、湿度、風速等に関する分析を実施する。これらに基づいて区分ごとの気候特性について整理することで、市街地形態区分とそこで形成される微気候の関係の一般化を図る。
|
Causes of Carryover |
当初は、市街地の形状再現手法に有償の高精度(水平方向5m解像度)なALOS全球数値地表モデルDSM・DTM(AW3D)を用いる予定であったが、今年度は作成されたゾーニングマップに基づく地表面境界条件を組み込んだ広域な気候数値解析の実施、及びこれによる提案した市街地区分手法の評価に時間を要したため、これには水平方向30m解像度の無償のデータベースを用いて作成済みであったゾーニングマップを使用した。このことから、この差額が生じた。従って、次年度は有償のALOS全球数値地表モデルDSM・DTM(AW3D)を購入し、今年度構築した形状再現手法を用いて高精度な市街地の形状再現を行うとともに、ここから高精度な形状数値データを取得する予定である。
|