2020 Fiscal Year Research-status Report
高効率捕集性能を有する排気装置POL-CAPTUREの革新的開発手法に関する研究
Project/Area Number |
19K22011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山中 俊夫 大阪大学, 工学研究科, 教授 (80182575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
袁 継輝 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10781437) [Withdrawn]
崔 ナレ 大阪大学, 工学研究科, 特任助教(常勤) (10826481)
小林 知広 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (90580952)
小林 典彰 大阪大学, 工学研究科, 技術職員 (60880656)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 排気フード / 捕集率 / 外乱 / 風洞 / CFD解析 / トレーサーガス |
Outline of Annual Research Achievements |
最も基本的な形状でのPOL-CAPTUREとして、排気フードに焦点を当て、様々な形状での排気フードの外乱気流下での捕集性能を実験とCFDにより評価することを試みた。用いた排気フードの形状は、①ダクトのみ、②フランジ形、③キャノピーフード(箱形フード)、④テーパー型(60度)、⑤テーパー型(10度)の5種類であり、想定した汚染物発生源は、①等温球形発生源(直径10cm)と②加熱立方体(10cm角)の2種類である。 実験では、0.1~0.5m/sの極めて乱れの小さい気流を作成し、そのなかに各フードと発生源を設置し、トレーサーガスとしてCO2を使って汚染物の捕集率とフード近傍での風速ベクトルとCO2濃度の分布を測定した。その結果、等温球形発生源の場合には、横風に対する耐風性能としては、フランジ形の性能が最も高く、10度テーパー、ダクトのみ、キャノピー、60度テーパーの順となることが明らかになった。また、当然ながら、フード下端から汚染物発生源までの距離は大きな影響を与えるファクターであり、その距離が小さいほど、捕集率は高い。一方で、汚染物発生源が加熱立方体の場合には、上昇気流の影響により、捕集率は高く、フードによる差異は小さくなることがわかった。 CFDによる解析では、標準k-εでの解析を行ったところ、実験値とは大きく乖離した捕集率が得られた。いくらかの実験条件でRealizable k-εモデルを用いた解析も行ったところ、解析値の改善が見られたことから、横風条件下での排気フードの捕集率予測においては、等温であっても乱流モデルによる違いが大きいことも明らかになった。 また、フードの吸引気流はポテンシャル流れとなることから、点排気源と横風の風速ベクトルの合成手法による検討を行い、気流場に関しては、簡易な手法で再現が可能であることも明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時においては、トレーサーガスの発生をパルス的に行った場合の、フード捕集された濃度の時間応答特性の分析に基づいて、captureとcotainment、つまりC&C性能の全容を把握する手法を想定していたが、実際の実験では、濃度分析器の応答性の問題が解決できず、定常発生での実験を行うという研究方針の変更を行った。また、初年度においては、フード近くの空間の各点におけるactiveな汚染物発生を想定して、限界風量比という指標を用いた捕集性能の空間分布の考え方を提案したが、現在のところ、その具体的な評価までは至っていない。ただし、昨年度はCFDを用いて、横風気流下でのフードの形状と捕集率との関係について検討を行い、フード形状が極めて大きな影響を有していることを明らかにした。その成果を踏まえて、2020年度は風洞を用いた実験と、風洞実験を再現したCFD解析を行うことができた。 従って本研究は当初とは異なる展開を見せてはいるが、高効率の排気装置の開発という本研究の最終目標の観点から考えると、順調に成果を出せていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
実際問題としては、捕集率だけの評価では、捕集メカニズムの詳細な解析までを行うことができないという問題点があることは否めない。捕集メカニズムの解明には、非定常のLES解析を行うことが有効であり、次年度に向けてはLESを用いた解析の計画を検討している。 また、実際の工場では、複数の汚染源と排気フードが存在しているが、そこでは給気口の位置関係によって、それぞれの排気フード下での横風風速が決まる。そのような場でのフードの設計は極めて難しいが、本研究では、各フードの風量比と給気口位置から、フードへの外乱となる横風条件を求める手法についても、検討を行う予定である。 また、フランジ形のフードの捕集率が非常に高かったことは、今後のフードの採用について、大きな影響を持っていると考えており、厨房空間や、新型コロナ感染対応装置としての利用も視野に入れて、その詳しい性能把握と、現場での活用方法などについても、新しいアイデアを出して検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度実施した風洞実験において、日程的な問題で、当初の日数の利用を行うことができなかったことから、風洞の利用料において残高が出た。これについては、次年度での実験での風量利用料として、研究の進展に有効に利用することができることから、他の用途としては利用せずに、次年度使用とした。
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Research Products
(4 results)