2019 Fiscal Year Research-status Report
Conceptual design research of electric aircraft systems using plasma jet propulsion
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19K22014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 浩一 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90375121)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | プラズマ / 電気飛行機 / エアブリージング推進 / 超音速気流 |
Outline of Annual Research Achievements |
エアブリージングプラズマ推進の成立性を議論する本研究では、まず、高速飛行中の外気を出来るだけ減速せずにプラズマを生成し、電磁力で加速する方法の可能性を模索している。特に現象のわかりやすい超音速気流中で誘導結合プラズマを用いて、どのようなプラズマが発生し、また、どのような流れ場を生じるのか、を調べている。 初年度である2019年度は、本研究の基盤固めの期間と位置付け、実験装置の整備、予備的な実験の実施、数値シミュレーション方法の具体的な検討などを行った。予備的な実験では、マッハ数2以上の自由噴流中に、誘導結合プラズマを生成することに成功した。これまで、ほぼ全ての類似研究においては、誘導結合プラズマは超音速気流中においても、主流中ではなく、境界層近傍で発生させられている。誘導結合プラズマの研究では、プラズマは低速流とバランスして電離波面を形成すると考えられており、超音速気流中でプラズマを発生させた研究はこれまでにない。このため、誘導結合プラズマと高速気流の相互作用については、ほぼ知見がゼロである。 我々の行った予備実験の中で、自由噴流中に生じるバレルショックの背後において、プラズマが強く発光する様子が確認され、これは、超音速気流中の衝撃波と誘導結合プラズマの生成機構との連成現象を確認したのではないかと推測している。これが正しければ、この現象は、これまでにどの研究グループも得たことのない知見であり、非常に高い新規性を有すると考えられる。 今後は、より長時間に渡って安定した気流の中で、現象の観察とプラズマ状態の計測を行うことで、明確な形で新しい物理的知見を得るために、真空排気系の増強を行い、長時間にわたって低密度超音速気流を維持できるよう、実験装置の改良を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初計画では、準備段階であり、現象に対する新たな知見を得られることは期待していなかった。今回は、予備的な実験のなかで、大変新たな知見が得られたことは、計画以上の進展と言え、次年度における飛躍的な成果の獲得に期待される結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
非定常電磁場によるプラズマ生成過程を含んだ数値シミュレーション、超音速風洞を用いたプラズマ生成実験の準備を進めている。これらのシミュレーション・実験の結果を取り入れることで、エアブリージング推進システムとしての成立性をキチンと論じることで、工学的に意義の大きな研究成果を生み出せると期待している。
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Causes of Carryover |
数値シミュレーション用ワークステーションの購入に使用予定である。 理由としては、今年度は、予備実験と数値シミュレーションプログラムの設計指針検討を慎重に進めた結果、ワークステーションの仕様決定には、予備実験による主要物理現象の見極めと、予備的な数値シミュレーションの実施による、数値計算容量の見積もりが必要であることがわかってきたので、ワークステーションの選定を2020年度に先延ばしすることにした。
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