2019 Fiscal Year Research-status Report
表面張力勾配により自己駆動する液滴を利用した宇宙居住用水浄化装置の開発
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19K22015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡野 泰則 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90204007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲富 裕光 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (50249934)
堀河 俊英 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (90380112)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | マランゴニ / 数値解析 / 水浄化 / 宇宙居住 |
Outline of Annual Research Achievements |
マランゴニ対流による基板上の液滴移動現象を再現する数値解析コードの作製に成功した。数値計算にはオープンソースコードのOpenFOAMを用いた。また計算にはVOF法を用いた。計算条件としては月における浄化を念頭に地上重力の1/6の重力を仮定した。温度差と濃度差の両者のマランゴニ対流の影響を比較したところ、想定している範囲内においては温度差マランゴニ対流の影響が支配的であるとともに、基板からの液滴離脱は生じないも都の結果を得た。 算出された液滴の移動速度を従来の無重力下における液滴移動速度の推算に広く用いられているYGB理論と比較したところはるかに算出値が下回り、基板の影響が大きく、本研究で想定している条件においては新たに計算を行わないといけないということが判明した。 計算により液滴表面には温度差マランゴニ流による高温から低温に向かう表面流れと基板上近傍における逆流が生じた。一方濃度差マランゴニ対流では、液滴中心部の基板付近から上部に湧き上がる流れが生じるが、ほぼ左右対称であるため液滴の移動にはほぼ関与せず、温度差と濃度差両者のマランゴニが存在する場合には液滴移動の観点としては温度差マランゴニの影響が支配的であることが分かった。しかしながら蒸留の観点から見ると濃度差マランゴニ影響が無視できない可能性もあり、今後の検討課題である。 一方凝縮による液滴生成に関する数値計算コードの作成にも成功した。複数の液滴が基板上に生成しつつマランゴニ対流により低温側から高温側へと移動していく様が再現できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値解析コードの作成は終了し、現在実験結果との照合を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験結果と数値解析結果との比較を行い、両者の差異について検討する。蒸留の可否の検討も行う。また落下塔実験に向けての装置設計、実験条件設定を行う。
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Causes of Carryover |
交付決定が遅く、特に分担者の徳島大学では使用開始が12月と大幅に遅れたため、実験装置等の発注ができなかった。また3者が一堂に集まる打ち合わせの機会も設けられなかったため旅費の使用も予定を大幅に下回った。 既に装置設計、使用試薬分量の算定は終わっており今年度は速やかにこれらを購入し、コロナ終息後に予定通りに研究を進める予定である。
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Research Products
(3 results)