2019 Fiscal Year Research-status Report
衛星SARデータを活用した高速・高信頼な自然災害発災自動検知実現のための基盤構築
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19K22029
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
多田村 克己 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30236533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐村 俊和 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30566617)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | リモートセンシング / 衛星SAR / 自然災害発災検知 / テータベース / 機械学習 / 畳み込みニューラルネットワーク / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)衛星位置ごとに定まる観測データ信頼度情報の創出とそのデータベース化 レーダーシャドウ領域の抽出に関しては,DEMデータから生成した3次元地表面を用いてレーダーシャドウ領域を計算するための基本となるアルゴリズムを開発し発表した.レイ・オーバを生じる領域抽出の前段階として必須のDEMデータ水部への適切な標高値の付与に関しては,国土地理院提供のDEMデータに基づき一部オフライン処理を含む湖沼部に対する水面標高値の付与手法を開発し発表した. (2) 災害危険度の高い地域毎に時系列に蓄積された衛星SARデータを中心とする自然災害発災識別器用データベースの構築 自然災害発災識別器用データベースとしてデータを蓄積する単位として,自然災害種別毎に地方自治体で整備されているハザードマップから得られる発災の局地的なまとまりを「発災判定小領域」として定義し,その単位で記憶すべき内容およびデータベース構成レコード毎のフィールド構成について検討した結果をまとめて発表した. (3)衛星SARデータをを活用した自然災害発災識別器の開発 既存の衛星SAR観測データ変化検出法に基づく発災検出法に深層学習技術によるスクリーニング法を組み合わせることで,空間解像度の高い単偏波SARデータからの検出精度の向上を試みた結果をまとめて発表した.さらに,ノイズを含むデータに対応するCNNの学習法に着目し,複数のCNNを用いることで土砂災害検出精度が改善可能であるかについて検討し,得られた知見を発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)衛星位置ごとに定まる観測データ信頼度情報の創出とそのデータベース化 レーダーシャドウ領域の抽出のための基本的なアルゴリズムの開発は完了し,当初の予定どおりに進捗している.レイ・オーバを生じる領域の抽出の基本的なアルゴリズムの検討は終了したが,DEMデータ水部への適切な標高値の付与が完了を待つ必要がある.このため,当初の予定よりは遅れている.その一方で,水部への適切な標高付与手法が開発されると適用対象が多いと予想され,DEMテータ利用のすそ野を広げる有用性の高い課題を新たに発見したと考えている. (2) 災害危険度の高い地域毎に時系列に蓄積された衛星SARデータを中心とする自然災害発災識別器用データベースの構築 国土地理院提供5mメッシュのセルをSARデータを始めとするデータの記憶単位とし,ハザードマップを参照して手作業で発災判定小領域を切り出す手順を検討した.さらに,発災判定小領域毎のデータベースの構成要素と新しく観測されたSARデータ毎に蓄積するデータレコードのフィールド構成とそのデータ収集方法について検討完了した.概ね予定どおりに進捗している. (3)衛星SARデータをを活用した自然災害発災識別器の開発 土砂災害発災検出に焦点をあて,既存の変化検出法に基づく発災検出法に深層学習技術によるスクリーニング法を組み合わせることで,空間解像度の高い単偏波SARデータからの検出精度の向上を試みた.災害前後の衛星SARデータの変化から発災を検出する手法では,非災害変化を抑制する多時期SARデータを用いる変化検出法であっても,CNNによるスクリーニングを行うことで,さらに性能が高まる見込みを得た.また,ノイズを含むデータに対応するCNNの学習法に着目し,複数のCNNを用いることで土砂災害検出精度が改善できる可能性も得ているなど,順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 衛星位置ごとに定まる観測データ信頼度情報の創出とそのデータベース化 レーダーシャドウ領域およびレイ・オーバを生じる領域は,衛星SARデータの観測原理から衛星位置と進行方向を法線ベクトルとする面を単位として計算される.そのため,国土地理院提供5mメッシュのセルに対応させて各領域を抽出するためには,衛星軌道上に適切なサンプリング点を発生する必要がある.今後は,それぞれの領域の抽出に適したサンプリング点の発生手法を検討する.当初の予定にはないDEMデータ水部への適切な標高値の付与については,本研究課題で利用する国土地理院提供5mメッシュデータでは水部の標高が未設定であることを確認した.さらに,河川,海岸,湖沼という水部の属性を考慮して適切な水面の標高値を得るための手法の開発に着手し,その結果から一部オフライン処理を含む湖沼部に対する水面標高値の付与手法を開発しており,今後処理の自動化率を向上させ,実用性の向上につなげる. (2) 災害危険度の高い地域毎に時系列に蓄積された衛星SARデータを中心とする自然災害発災識別器用データベースの構築 これまでに得られた知見の上に,(3)のサブテーマにおいて利用する差分用のSARデータを多時期の観測データから生成する手法の検討に着手する. (3) (1), (2)を活用して高信頼度の発災可能性を高速に判定可能な自然災害発災識別器の開発 これまでの成果に基づき,複数のCNNを利用したノイズを含むデータに対応する学習法の適用による土砂災害検出精度の向上について評価する.また,これまで豪雨により発生した土砂災害をテストケースとして検出を試みてきたが,土砂災害の発生は地震によっても発生する.そこで,より汎用的な検出精度の評価として,発生原因の異なる土砂災害や他の地域の土砂災害へ適用を行う.また,そこから得られた知見より検出性能の向上を図る.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:国際会議での成果発表のための旅費が想定を下回ったため,および2020年3月に成果発表した情報処理学会全国大会が新型コロナウイルス感染防止のためオンライン開催となり,その旅費が不要になったため. 使用計画:研究成果発表のための旅費と学会登録費に使用する
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Research Products
(6 results)