2019 Fiscal Year Research-status Report
超高温耐熱構造材料用の窒化物アモルファスバルクの創製
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19K22039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
朱 鴻民 東北大学, 工学研究科, 教授 (80713271)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 超高温用材料 / シリコン / 窒化物 / アモルファス |
Outline of Annual Research Achievements |
ガスタービンやジェットエンジンは熱効率改善のため超高温用材料の適用が望まれている。しかし金属系材料では限界が見えつつあり、非金属系材料が模索されている。有力な候補として窒化物がある。特にSi3B3N7やSiBCN3で代表されるシリコン(Si)系窒化物はアモルファス化が可能で1700℃まで結晶化しない。これらのアモルファス材料は優れた機械的性質、抜群の耐酸化性を有し、超高温構造材料としての利用が期待される。本研究では、SiCl4、BBr3、CCl4などのハロゲン化物を原料として用い、液体アンモニア(NH3)中で金属ナトリウム(Na)で還元窒化させて、アモルファスSi-B-NあるいはSi-B-C-Nのナノサイズ微粉末を作製する。さらに、緻密なアモルファス窒化物バルクを製造することを目的とする。 アモルファスSi-B-NやSi-B-C-Nは1600℃および1700℃まで安定であり、緻密なバルクができれば、理想的な高温構造材料になると期待できる。しかし、強力な共有結合性のため焼結性に乏しく、通常の微粉末の緻密焼結にはその融点に近い高温が要求される。一方で、緻密なアモルファスバルクを得るには、結晶化温度以下で焼結を終える必要がある。この矛盾した目標を達成するため、平成31年度(令和元年度)は、アモルファスSi-B-C-Nナノ粉末の合成を行うための装置の立ち上げを行った。ただし、研究開始が遅くなったことに加え、重要な設備である冷却装置の納品が遅れたため、多くの時間を装置の立上げに費やした。目下、急速に研究体制を整え、アモルファスSi-B-C-Nナノ粉末の合成の試作を行っており、生成物が安定して得られるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況がやや遅れているのは、研究開始が遅くなったことに加え、重要な設備である冷却装置の納品が遅れたため、多くの時間を装置の立上げに費やしたためである。その後、急速に研究体制を整え、アモルファスSi-B-C-Nナノ粉末の合成の試作を行っており、生成物が安定して得られるようになった。ただし、令和2年3月以降、新型コロナウィルス蔓延の影響が出始め、研究協力者の大学院生が登校できず、研究の進行が停滞した。6月現在、研究のペースを徐々に戻しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、原子レベルで均一なアモルファスSi-B-NとSi-B-C-Nを組成制御によって作製し、できるだけ高い結晶化温度を持つアモルファスを見出す。CCl4のみならず、SiCl3CH3など他の化合物も原料として探索する。また、この窒化物アモルファスネットワークへのBおよびCの導入限界は未知である。Si/B およびSi/B/Cの組成比を自由に調整し、アモルファス安定温度と組成との関係を調べる。その解明には、SEMやTEM等の構造解析とともに、XPS、Raman、NMRなどによって化学結合状態を解析する。 また、窒化物アモルファスの粉末をナノサイズに制御し、焼結温度を大幅に低下させる。この方法で合成したSi3N4ナノ粉末で、1500℃での緻密焼結が成功したことからSi-B-C-Nの結晶化温度(1700℃)以下でち密焼結が可能と強く期待される。 さらに、スパークプラズマ焼結(SPS)等の加圧焼結技術を利用して、より一層の低温焼結を目指す。得られた緻密体の構造、密度、空孔率、熱分析、ならびに機械的特性を評価する。さらに、高温での耐酸化性と強度・耐クリープ性も検討する。
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Causes of Carryover |
当初の計画どおりに研究が進まず、実験試料の消費、購入が十分に進まなかったため。令和2年度は、計画した予定に復帰できるよう研究を速やかに進め、当初の予定通りの実験試料購入を行う。
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