2019 Fiscal Year Research-status Report
中温作動型燃料電池を実現する空気極触媒電極材料の開発;材料探索フィールドの大転換
Project/Area Number |
19K22041
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小俣 孝久 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80267640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一誓 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60821717)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 混合伝導体 / プロトン伝導体 / 燃料電池 / 空気極材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 空気極触媒電極材料の探索原理の検証:水素を格子間に注入したWO3を例に、WO3中の水素の拡散係数、電気化学的水素ポンプを構成した水素の輸送により、WO3中のプロトン移動度を研究した。その結果、WO3中のプロトン移動度はよく知られたBaZrO3をベースにしたプロトン伝導体に比べ、300℃で1桁以上大きいことがわかった。現段階では実験の技術的問題をいくつか解決する必要があるが、非局在化したカウンターチャージである電子が共存する場合には、プロトンの移動度が大きくなるという探索原理が正しいことが概ね明らかになった。Ca2+をインターカレーションしたCaxWO3については試料の作製法が確立し、HxWO3と同様な検討を進める準備が整った。 (2) 探索原理に基づく空気極触媒材料の開発:新たな物質の開拓については、WO3での検証結果を待つ必要があったため、今年度はプロトン電子混合伝導性ガラスを中心に行った。Na2O-V2O5-P2O5の3成分系ガラスにおいて、高温アルカリ-プロトン置換によりプロトンの注入が可能な組成を探索した。プロトン注入により結晶化が生じる組成が多い中、Na+をH+へと置換してもガラス状態を維持するいくつかの組成を見出した。全電気伝導度に加え、起電力測定によりそのプロトン輸率を評価した結果、水素含有雰囲気では0.7以上の大きなプロトン輸率(プロトン伝導度では1×103Scm-1以上)を示すものもあり、空気中での安定性によっては、電極材料として期待できるものもあった。これと並行して進めたn型電子伝導体とプロトン伝導性の36Hガラスとの複合材料を空気極に用いる検討でも、比較的小さい電極抵抗を見出しており、このアプローチについても期待できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
探索原理の検証、新物質の探索はいずれも順調に進んでおり、新材料探索においては新たなアプローチも見出しており、計画に大きな遅れは見られない。
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Strategy for Future Research Activity |
WO3を例にした探索原理の検証では、実験の精度を上げる必要を感じている。従って、実験装置の見直しを進め、確信の持てるデータの獲得を進める。材料探索においては、これまでのアプローチに加え、36Hガラスとの複合材料という新しいアプローチを見出したので、探索する材料フィールドの分配に注意しながら、目的達成に向けて研究を進める。
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