2019 Fiscal Year Research-status Report
Preparation of transparent glass-ceramics from concentrated 3d transition metal system
Project/Area Number |
19K22046
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
本間 剛 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (70447647)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | ガラス / 結晶化 / 透明 / ナノ結晶 / イオン伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルカリイオンと遷移金属イオンを高濃度に含有するケイ酸塩ガラスの結晶化に関する研究の過程で、可視光領域で透明性を有する結晶化ガラスを見出した。析出した結晶は典型的な立方晶系のX線回折図形を示し、室温における電気伝導性も高くなることが明らかとなったが未解明な点が多く珍しいガラス系である。そこで、本研究では可視域で透明を有する遷移金属酸化物を高濃度で含有する酸化物ガラスおよび結晶化ガラスの形態、透明結晶化、光学的・電気的特性、組成との関係を解明することを目的に、 Na2MSiO4(M = Mn, Fe)と同組成の33.3Na2O-xMnO-(33.3-x)FeO-33.3SiO2ガラスの作製と結晶化挙動の解明そして光学的性質、電気的特性を評価した。 Na2MSiO4(M=Mn, Fe)の結晶量論組成と等しい33.3Na2O-xMnO-(33.3-x)FeO-33.3SiO2のガラス化を確認した。これらを熱処理し結晶化することでNa2MSiO4(M=Mn, Fe)結晶の作製が可能であることを明らかにした。また、熱処理温度の制御によってNa2MSiO4(M=Mn, Fe)結晶の準安定相を発見し、この結晶が40 nm程度の結晶子サイズで析出する場合に透明結晶化ガラスとなることを明らかにした。光吸収分光、光電子分光法そしてX線吸収微細構造分析から、この準安定相における遷移金属イオンはMn2+イオンとFe2+イオンが占め、その配位数は四配位サイトよりは六配位サイトが支配的である構造を有することを初めて明らかにした。また、イオン伝導性があることから四配位サイトをとるNaイオンが存在すると示唆される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
還元条件下での溶融によってガラスが得られ、ガラス化する組成領域を明らかにすることができた。また、結晶化の挙動について熱力学的な準安定相が体積結晶化することで透明な結晶化ガラスが得られることが明らかとなった。 析出する結晶についてはX線回折では単純な立方晶系に由来する回折のみなので、構造解析は困難であったが、X線吸収微細構造分析(XAFS)による鉄およびマンガンのXAFSスペクトルからいずれの遷移金属イオンの価数は+2であることがわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
作製した透明結晶化ガラスは電気伝導性が良好であり、二次電池の正極活物質として機能する可能性がある。また、透明であるがFe2+イオンを含むことから、可視光を通し赤外線を吸収する熱線吸収材料として期待できる。そこで、電気的および磁気光学的な観点での特性評価を進める。
|
Research Products
(29 results)