2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K22054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 功 京都大学, 工学研究科, 教授 (70183861)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / データ科学 / 無機化合物探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,無機の『未知化合物』を系統的に発見するための方法論を構築し,実際に合成・解析実験にちょって存在を確認することを目的としている.そのために,まず既知化合物のデータベースを用い,化学組成推薦システムを適用して対象となる物質系を絞り込む.その上で,出発原料うやプロセス条件など多岐にわたる並列合成実験により,成功データだけでなく失敗データをも系統的に収集する.この結果をスコア化し,効率的なテンソル分解法を活用して,成功確率の高い実験条件を見出す.最終的には,成功確率が高いと予測された実験条件での新奇化合物合成を検証することで,方法全体の有効性を実証する.これまでの応募者らの経験で,第一原理計算によって熱力学的に安定であることが保証された化合物であっても,合成困難なものが多いことが分かっきた.その理由は適切な合成方法・条件が選択できていないと纏めることができる.出発原料に固相,液相,気相の何れを用いるのか,反応温度・時間,圧力などの合成条件をどう選択するのか,多くの経験を有する合成研究者のノウハウを駆使しなければ,合成が困難な化合物が多いのである.本研究ではデータ科学の手法に則り,このノウハウを計算機上で構築し,新しいアプローチとして実証することを目指す. 当該年度は、データ科学の方法論を活用して物質系を絞り込みを行った.ICSDなど既知化合物のデータベ ースを用い,化学組成推薦システムを適用して安定な『 未知化合物』が存在する確率をスコア化した.この手法は,機械学習法を応用して応募者らが近年開発したものである(Phys. Rev. Mater. (2018)).高スコアのものは予測存在確率が高いとみなせる.これを検証するために系統的な第一原理計算を実施して生成エネルギーの凸包を作成し,熱力学的安定性を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた下記の段階を十分に終えることができた。 ①データベースからのデータ取り込みと、それを用いた化学組成推薦システムから安定な『未知化合物』が存在する確率のスコア化 ②系統的な第一原理計算を実施して生成エネルギーの凸包を作成し,熱力学的安定性を評価
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,絞り込まれた新奇化合物候補のピンポイントでの合成実験を行う.本研究では,応募者のラボ設備の制限から毒性の高い元素を除外し,主に酸化物を対象とする.まず常法として粉末法と錯体重合法による合成実験を実施する.ここで合成できなかった場合は,並列合成実験によるデータ収集プロセスを開始する.ここで重要なのは,合成実験の成功データだけでなく失敗データをも系統的に収集することである.新奇化合物候補のピンポイント実験だけでなく,周囲の化学組成や元素を対象に,出発原料やプロセス条件など多岐にわたる並列合成実験を実施する.並列実験のために,錯体重合法と組成傾斜薄膜法を利用し,合成条件や出発原料を系統的に変化させる.錯体重合法と組成傾斜薄膜法についての予備的検討は既に開始している.さらに結晶相の同定には,現有のサンプル自動交換装置付の粉末X線回折計を用いる.この並列実験の結果はスコア化する.その際に失敗の度合いについてもスコア化することを試みる.同じ失敗結果であっても,目的と異なる化合物が合成されている場合と,結晶性化合物が全く合成されなかった場合などは区別する必要があると考えているためである.このデータが蓄積した段階で,合成スコアをテンソル化し,タッカ ー法など先端的なテンソル分解法を活用して,成功確率の高い実験条件を見出す.
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Causes of Carryover |
初年度は既存の計算機システムを利用することで、十分な成果を上げることができたため、新規導入予定だった計算機は次年度に購入することになった。
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