2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K22054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 功 京都大学, 工学研究科, 教授 (70183861)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 並列合成実験 / 新物質探索 / 化学組成推薦システム |
Outline of Annual Research Achievements |
マテリアルズ・インフォマティクスというアプローチが注目を集めている.しか し未だ新物質や材料機能探索に,データ科学の高い能力を発揮させた具体的な成 功例は僅少である.これはデータ獲得―解析―検証という一連の流れとして実施す る方法論が整備されていないためである.本研究は,無機の『未知化合物』を系 統的に発見するための方法論を構築し,実際に合成・解析実験によって存在を確 認することを目的とした.そのために ,まずICSDなど既知化合物のデータベー スを用い,化学組成推薦システムを適用して,既知物質との化学的類似性から安 定に存在すると期待される新物質を絞り込んだ. 様々な物質に対して出発原料やプロセス条件など多岐にわたるパラメータを系統 的に変えた1000件を超える合成実験を並列合成手法により行い,成功データだけ でなく失敗データをも系統的に収集した.この結果をスコア化し,効率的なテン ソル分解法を活用して,未実験条件のうち成功確率の高い実験条件を見出した. 成功確率が高いと予測された実験条件で上位300件の検証実験を行い,2つの新物 質を発見した.またこれらの物質に関して,探索範囲のうち最も適切な合成条件 をピンポイントで予測することができた.無作為に選んだ600件の新規物質探索 合成実験では1つも発見できなかったことから,本課題の手法が新物質探索に対 し有効に働くことが示された.このように,データ科学に基づいて新規な無機化 合物発見を志向し機械学習と実験を組み合わせた研究は世界的にも例を見ず,新 物質や材料機能探索にマテリアルズ・インフォマティクスを活用した重要な試金 石を与えることができた.
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Research Products
(1 results)