2020 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーオキシハライドの創製による新しい二次元量子磁性体の開拓
Project/Area Number |
19K22056
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北田 敦 京都大学, 工学研究科, 助教 (30636254)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | 超酸化物 / ポリエーテル / イオン液体 / 濃厚電解質溶液 |
Outline of Annual Research Achievements |
嫌気性条件での低温混合による新物質合成を目的として、以下の研究を行った。等モルの超酸化カリウム(KO2)と金属ハロゲン化物ならびに溶媒を室温で混合し、新物質を合成することを試みた。溶媒としてクラウンエーテル を、金属ハロゲン化物としてフッ化ニオブ(V)または塩化鉄(III)を選択したところ、混合直後は粘稠な液体が得られた。しかし、一日放置したところ固化し、再混合しても固体のままであった。溶媒のクラウンエーテルを等モル追加しても固化したままであり、KO2の分解が推測された。 アルミニウムパンに、KO2とフッ化アルミニウムの等モル混合物を入れてカシメたものを反応容器とした。室温と600°Cの間での加熱冷却サイクルにおいて再現性のあるピークを確認した。KAlF3(O2)の生成を推定している。 上記の知見をもとに、KO2を用いないポリエーテル系濃厚電解質溶液についての研究を展開し、以下の成果を得た。(I)塩化アルミニウム-ジグライム溶液の濃厚電解液を作製した。従来の2倍の塩濃度にまで濃厚化することによって中性アルミニウム化学種が消失すること、平滑アルミニウム電析が可能になること、平滑化によって電析物の耐食性とナノインデンテーション硬度が向上することの3点を明らかにした。(II)グライムまたはクラウンエーテルを用いて、プロトン性溶媒和イオン液体の合成と物性解明を行った。ヒドロニウム溶媒和イオン液体について、クラウンエーテル系におけるプロトン高速伝導の発現と、グライム系での消失を確認した。親水疎水領域の明瞭な区別がつく環状リガンドが高速プロトン伝導の発現に重要であるとわかった。アンモニウム溶媒和イオン液体という新物質を、低温混合により合成した。(III)グライムーリチウム系濃厚溶液を探索し、グライム系では初のリチウムイオンホッピングの発現を確認した。
|