2020 Fiscal Year Research-status Report
プラズモニックメソグレーティングの異常光透過特性の解明とナノ偏光フィルターの作製
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19K22058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村井 俊介 京都大学, 工学研究科, 助教 (20378805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 光 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (50735587)
三宮 工 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (60610152)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 表面プラズモン / メソグレーティング / ナノ光源 / ナノ偏光フィルタ / ファノ共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度取り組んだ周期40~60 nm程度の金属メソグレーティング構造の特異な偏光フィルター作用に対する研究から着想し、新規構造としてグレーティング構造の特異な光熱変換効果について研究した。特にアスペクト比の大きな(溝の深い)1次元または2次元グレーティング構造が光-熱変換を非常に効率よく起こすことを見出した。これらの構造は熱伝導を抑制し、光照射部にエネルギーを閉じ込め局所的な加熱を実現する。特に構造を作製する材料として窒化チタンを利用することで、窒化チタンに励起される可視光全域にわたる表面プラズモンを介して可視光の幅広い波長範囲で光-熱変換を実現できることを示した。これはナノ熱マネジメント分野で重要な要素技術である。これに加え高アスペクト比のプラズモニックナノ粒子が面内と面外のプラズモニックモードの干渉によりファノ型の共鳴を示し、面外に非対称(異方性ある)な光散乱を起こすことを理論的に見出し、実験にて実証した。これは高効率、極薄の光フィルター実現に向けた重要な成果であり、代表者が並行して研究するプラズモニック蛍光体の高性能化にとっても有用である。また並行してプラズモニック構造で発生する光-熱変換について評価し、プラズモニックモードにより発光を増強する場合、熱伝導率の高い基板を用いることで温度上昇が抑制できることを見出した。これは熱失活抑制の手がかりとなり、プラズモニック蛍光体の高性能化へ重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の構造から着想して、高アスペクト比の構造を設計・特性評価することで研究が大いに進んだ。面外異方的な散乱は予想外の結果であったが、代表者が並行して研究するプラズモニック蛍光体にとって非常に好ましい特性であり、両者を組み合わせさらに研究を発展させる足掛かりを作ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究を受け、今年度は以下の研究を行う. ファノ共鳴と熱マネジメントを利用した高性能プラズモニック蛍光体の開発:蛍光体と面外異方性散乱を示すプラズモニックアレイと蛍光体を組み合わせ、特定方向へ光を優先的に放つ蛍光体を設計・作製する。 新規構造のデザイン:これまでの結果を踏まえて散乱光をを制御する新しい構造をデザインし、発光の制御を行う
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Causes of Carryover |
コロナ禍における出張の延期のため、次年度使用額が生じました。次年度において、状況を見ながら、出張あるいは出張を補完する用途に使用する予定です
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