2020 Fiscal Year Annual Research Report
分解反応を利用した官能基間距離が精密に制御された固体表面反応場の構築
Project/Area Number |
19K22074
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 裕一 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (10374638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大友 亮一 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (10776462)
梅澤 大樹 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (20503618)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 協奏触媒作用 / ペアサイト / 酸点 / 塩基点 / アルドール縮合 |
Outline of Annual Research Achievements |
隣接した酸点(カルボキシ基)と塩基点(アミノ基)からなるペアサイトのみを構築する方法として、4-pentanoic acidと3-amino-1-propeneを脱水縮合してアミドを合成した後に両末端の二重結合をヒドロシリル化して得た前駆体をSiO2に固定し、最後にアミド結合を加水分解する方法を提案し、得られた触媒がアルドール縮合に高い触媒活性を示すことを報告した。本年度はこの触媒上での酸点ー塩基点の協奏作用をより深く理解するために、アルドール縮合の速度論解析を行った。50, 60, 70℃での反応結果から求めた一次反応速度定数を使って見かけの活性化エネルギーを算出したところ48 kJ/molであった。この値は、塩基点のみをSiO2に固定化した触媒(55 kJ/mol)よりも低く、この触媒上では酸点と塩基点が協奏的に作用して反応中間体を安定化していることが強く示唆された。 上記の活性サイト構築法において、2つのアミド結合を数個のメチレン鎖で結んだ前駆体を用いれば、メチレン鎖の長さに応じて酸点ー塩基点間の距離を制御できる。本年度は、C3のメチレン鎖を持つ前駆体の合成を検討した。4-aminobutyric acidのアミノ基をBoc保護した後、カルボキシ基を3-amino-1-propeneと脱水縮合した。Bocを脱保護した後にアミノ基を4-pentanoic acidと脱水縮合し、最後に両末端の二重結合をヒドロシリル化して前駆体を得た。前駆体の構造は元素分析、NMR、IRで確認した。SiO2上に固定した後に2つのアミド基を加水分解してC3メチレン鎖分の距離だけ離れた酸点ー塩基点ペアサイトを構築した。アルドール縮合に対するこの触媒の活性は、上記の近接した酸点ー塩基点ペアサイトを持つ触媒よりも低く、酸点と塩基点の距離が協奏作用に大きく影響することを明らかにした。
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