2019 Fiscal Year Research-status Report
配位結合ネットワークによる凍結反応場が持つナノ結晶形状誘導効果の数学的理解
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19K22077
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
冨樫 貴成 山形大学, 理学部, 准教授 (80510122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 聡 山形大学, 理学部, 准教授 (70375393)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 配位高分子 / 金属ナノ結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロッド、プレート型など形状異方性の高いナノ結晶は、その特異な形状や露出結晶面からユニークな光学特性、触媒能を発言する。一方、球状と比較し比表面積の高さから、その合成は困難であり極端に低濃度の溶液内で合成されるため、単位重量当たりに排出される排液量は極めて多量となる。本研究では、金属イオンと有機配位子からなる配位高分子結晶を反応場として利用した異方性ナノ結晶の擬似的高濃度合成法の開発を目的とする。申請者、配位高分子の一つであるシュウ酸銀から析出する銀の結晶がナノプレートへと形状を誘導させる効果を見出した。ここでは、この現象を数学的に解析し配位高分子が有する結晶形状誘導効果について一般則を見出す。その後、導き出されたアルゴリズムを元に目的の形状の結晶を最も効率的に誘導する配位高分子を用い、異方性ナノ結晶の義時事的高濃度合成へと展開する。 本年度は、金属銀をナノプレート状へ選択的に形状を誘導するシュウ酸銀を中心に幾何学的構造解析手法の確立を目的に研究を進めた、電子顕微鏡や粉末X線回折法を駆使し、そのシュウ酸銀から金属銀ナノプレートが誘導される起源について調査を進めた。その結果、粉末X線回折による構造解析法の一つであるOPML-XRD法が幾何構造解析に特に有効だった。その分析結果より、シュウ酸銀のc軸方向に対して平行な関係で銀ナノプレートが選択的に成長していることを明らかとした。この結果は、プレート平面に対して配位高分子中のシュウ酸イオンが垂直に配置される場合、誘導効果が最大に発揮されることを示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配位高分子が有する結晶形状誘導効果について、電子顕微鏡・エックス回折法、特にOPML-XRD法が有用であることがわかった。これにより、その他、配位高分子結晶が有する結晶形状誘導効果について配位高分子-金属結晶間の幾何学的解析が可能となった。結果、配位高分子のライブラリー中から結晶誘導効果を持つ配位高分子群、誘導される結晶形状の幾何学的関係について調査する基盤技術の確立が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、特に銀イオンを金属とする配位高分子の小規模ライブラリーを構築後、ライブラリー中から結晶形状誘導効果を有する配位高分子の探索を開始する。前年度確立した、解析手法を利用し配位高分子ー誘導される金属結晶間に共通する数学的幾何学を明らかとし、配位高分子が有する結晶形状誘導効果の一因を数学的知見からを探る。 さらに、配位高分子が有するナノ結晶誘導効果および、金属ー配位高分子間の固体-固体熟成を利用した異方性ナノ結晶のサイズ・形状単分散化技術への展開にも着手し、配位高分子の形状誘導効果を利用した異方性ナノ結晶の擬似的高濃度合成法へと飛躍させる。
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Causes of Carryover |
初年度は幾何構造解析法の構築に重点を置いたため、小規模配位高分子ライブラリの構築・構造解析や単分散異方性ナノ結晶合成条件検討などに関する予算を消化できなかった。次年度には初年度に行わなかった研究項目を遂行する予定であり、当初予定していた予算消化を次年度に繰り越した。
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