2019 Fiscal Year Research-status Report
Integral transformation method to investigate flow characteristics of polymer solution from the phase transition perspective
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19K22083
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
日出間 るり 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20598172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田部 然治 熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (00621773)
鈴木 洋 神戸大学, 工学研究科, 教授 (90206524)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 複雑流体 / スペクトル解析 / 積分変換法 / 分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
ソフトマターを含む流体は,低濃度でも特異な流動挙動を示すため複雑流体と呼ばれる.例えば,分子量数百万の高分子0.001wt%水溶液はメートルスケールの流路中で乱流を抑制する(乱流抑制).一方で,同じ溶液がマイクロスケールの流路中では,逆に不安定な現象(弾性不安定)を引き起こす.スケールや応力に依存した流動挙動は,溶液内部で高分子が不均一に相互作用するためだと考えられる.静置した低濃度高分子溶液では,高分子は互いに離れて存在し相互作用しないが,溶液に応力が加わり高分子が伸長すると,互いに絡まり合い,相互作用すると予想される.このことから,複雑流体の特異な流動現象はある条件で急激に生じる,相転移現象だと捉えられる. 本研究は,乱流抑制や弾性不安定など低濃度高分子溶液の複雑な流動挙動を,相転移の観点から解明するために,溶液内部で生じる高分子間の相互作用を定量化する物理モデルを提案することを目的とする.高分子溶液の流動現象を対象に,相転移的な挙動を観察し,積分変換法という「系内の注目する要素の変化を分布として抽出する方法」で解析する.要素変化の分布から系内部の構造変化を予測すれば,系内の不均一な相互作用を物理モデルにできると考えられる. 2019年度は主に,光ピンセットによる高分子溶液のマイクロレオロジー測定に関して,積分変換法を適用し,系内の粘度分布を抽出した.また,高分子を添加した二次元流動場のスペクトル取得も始めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,以下の項目について達成した. (1)光ピンセット装置を構築し,レーザーでトラップした粒子周囲の粘度を測定する方法を提案した.様々な溶液で,粘度測定を行い,ニュートン流体,粘弾性流体中で,計測したマイクロスケールの粘度と,マクロスケールでレオメーターにより測定した粘度を比較した. (2)上記の測定値の違いから,粘弾性流体中での物性の不均一さに着目し,粒子の位置変化のスペクトルを解析することで,積分変換法により粘度分布を求めることができた. 上記のことから,スペクトルの実験データへの積分変換法の適用を検討し,実際に実験系内の不均一さを抽出できたと言える.このことから,研究は概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果と,本研究全体の目標を考慮して,2020年度は,以下を達成することを目指す. (1)光ピンセットによる粘度測定への積分変換法適用を,様々な粘弾性溶液に適用する.そして,溶液の粘弾性の度合いが,溶液の粘度分布に与える影響を調べる. (2)高分子を添加した溶液の流動場のスペクトルに,積分変換法を適用し,流動場内部の高分子挙動に由来する溶液の物性値の分布を調べる. (3)時間とともに内部構造が変化する系への積分変換法の適用を検討する.
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Causes of Carryover |
年度末に,神戸大学にて,研究打ち合わせを行う予定であったが,新型コロナウイルスの影響により,対面での打ち合わせができなくなり,スカイプでミーティングをした.このため,予算が若干余った.
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Research Products
(18 results)