2019 Fiscal Year Research-status Report
CO2を出さずに有用物質を生産する非遺伝子組換え微生物(non-GMO)の構築
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19K22084
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
近藤 昭彦 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (40205547)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | バイオリファイナリー / 代謝工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は二酸化炭素(CO2)排出経路に着目して代謝改変を進めた。通常、微生物代謝においてCO2はTCA回路、ピルビン酸からアセチルCoAの生合成、PPP回路、の3箇所から主に排出される。しかし、これらの経路を欠損・遮断したのでは物質生産や増殖が大幅に低下する。そこで本研究ではグリオキシル経路に着目した。この経路は炭酸固定を可能とする経路であり、代謝改変によりこのグリオキシル経路を活性化することで、炭酸固定を行うとともにTCA回路をバイパスすることでCO2排出をスキップする。また、補充経路となるppcを活性化することで、さらにCO2の取り込みを促進する。これらの代謝改変を施した株を構築したところ、その増殖能の向上が見られた。エネルギー獲得能は多少低下するものの、炭素を取り込めることにより菌体増殖が向上したと考えられる。これらの菌株を用いてリジンをモデルとして物質生産能を評価したところ、改変株ではその収率を向上させることができた。リジンはオキサロ酢酸を前駆体として合成される化合物であり、補充経路の強化と炭酸固定の両者の効果が相乗的に作用することでその生産量が向上したと考えられる。また、アセチルCoAを前駆体として生産されるメバロン酸についても同様に検討を行った。こちらは上述の炭素取り込みの強化では生産量の向上がわずかであり、目的化合物によって代謝経路を適切に最適化していく必要があることが示された。今後はTCA回路と解糖系のジャンクションに着目して検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の代謝改変を施した菌株群を構築し、物質生産の評価系までできていることから、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに代謝改変を行い、物質生産能を評価するとともに代謝経路を最適化していく。
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Causes of Carryover |
使用予定であったオリゴヌクレオチド(プライマー)の配列が当初の予定よりも数塩基異なっており、その差額が生じたため。その分のプライマーとして次年度に使用予定である。
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