2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K22092
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (40357661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 彩奈 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (00778293)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 中間径フィラメント / 転写因子 / 転写制御 / 細胞 / 原子間力顕微鏡 / ビメンチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ビメンチン繊維に捕縛される転写抑制因子を標的として、独自に開発してきたナノニードルと原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、細胞内の捕縛分子を検出する手法を開発し、IFによる転写制御機構を解明することを目的としている。 2019年の研究では、タンパク質間相互作用のデータベース(M. Hein, et al., Cell 163, 712-23, 2015)よりビメンチン結合タンパク質を探索し、転写因子であるがん抑制因子Prohibitin 2(PHB2)を候補分子として選出した。ビメンチン発現細胞としてヒトC3H10T1/2、非発現細胞としてMCF-7を使用し、抗PHB2抗体を用いた免疫染色を行った結果、双方ともに細胞質と核においてPHB2が発現していることを確認した。次に、抗PHB2抗体修飾ナノニードルを作製し、AFMを用いて挿入、60秒間停留させた後、抜去する際に得られるフォースカーブのピーク値を結合破断力として測定した。その結果、MCF-7では、平均結合破断力は1.7 nNであった。それに対し、C3H10T1/2では、3.9 nNであり、ビメンチン繊維を発現している細胞で有意に高い破断力が観察されることが明らかとなった。挿入操作後のナノニードルに対して、蛍光標識二次抗体と反応させることで、PHB2抗体がナノニードル上に修飾されていることを確認し、抗体は針から脱離していないことを確認した。以上の結果から、我々はC3H10T1/2では一定量のPHB2がビメンチン繊維に捕縛されているため、MCF-7より大きな結合破断力が得られたと推察している。由来の異なる細胞であるため、今後詳細を明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗体-転写因子-ビメンチンの三者複合体の形成により、結合破断力が観察されるかどうか、ビメンチンと結合する可能性のある転写因子の探索が本研究の最初の大きな関門である。本年度の研究によりPHB2がその候補として使用できる可能性が見出されたことは大きな第一歩である。
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Strategy for Future Research Activity |
抗体-PHB2-ビメンチンの三者複合体が形成されることを証明する。フリーのPB2が抗PHB2修飾ナノニードルによって細胞から抽出されるか検証を行い、ビメンチン発現量に従って抽出分子量が変化しうるか検討を行う。
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Causes of Carryover |
2019年度はデータベース上での解析に時間を要し、実質的な費用があまり発生しなかった。2020年度は補助員の雇用に約100万円を計上し、抗体など多くの消耗品を使用する研究を推進する。これにより計画どおり予算を執行する見込みである。
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