2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K22092
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 副連携研究室長 (40357661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 彩奈 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (00778293)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 中間径フィラメント / 転写因子 / 転写制御 / 細胞 / 原子間力顕微鏡 / ビメンチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ビメンチン繊維に捕縛される転写抑制因子を標的として、独自に開発してきたナノニードルと原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、細胞内の捕縛分子を検出する手法を開発し、IFによる転写制御機構を解明することを目的としている。 2020年の研究では、高転移性マウス乳がん細胞株(FP10SC2)を用いて、IFビメンチンと、ビメンチンと共重合するIFネスチンをゲノム編集技術によってノックアウト(KO)した細胞を使用した。まず、FP10SC2と、ビメンチンKO株、ネスチンKO株に対してウエスタンブロットを行い、いずれの細胞株でもPHB2が同程度発現していることを確認した。また、近接ライゲーションアッセイを行ったところ、FP10SC2ではビメンチンとPHB2の結合点が観察され、VKOでは結合点が観察されないことから、細胞内でビメンチンとPHB2が結合していることが示唆された。そこで、抗PHB2抗体修飾ナノニードルを作製し、AFMを用いて抗体修飾ナノニードルを細胞に挿入し、抜去する際に得られるフォースカーブから抗原抗体結合破断力を解析し、ビメンチン結合PHB2の力学検出を検討した。ネガティブコントロールの抗GFP抗体修飾ナノニードルを用いた得られたデータの平均値+4SDを閾値に設定し、各細胞のFishing forceを評価したところ、ビメンチンKO株と比較してFP10SC2とネスチンKO株で閾値を超える値の出現頻度が明らかに高いことが明らかとなった。このことから、本手法によりIF結合分子の検出が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PHB2の精製に時間を要したが、目的の力学的検出に成功し、IF結合タンパク質を検出できることを証明した。
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Strategy for Future Research Activity |
Fishing forceの検出頻度は繊維表面構造を反映している可能性がある。これについて調査を行い、証明する。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ禍で実験が停滞したため、消耗品使用量が少なく、また旅費が発生しなかった。2021年度は引き続き補助員の雇用に約100万円を計上し、計画どおり予算を執行する見込みである。
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