2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K22092
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 副連携研究室長 (40357661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 彩奈 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (00778293)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 中間径フィラメント / 転写因子 / 転写制御 / 細胞 / 原子間力顕微鏡 / ビメンチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ビメンチン繊維に捕縛される転写抑制因子を標的として、独自に開発してきたナノニードルと原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、細胞内の捕縛分子を検出する手法を開発し、IFによる転写制御機構を解明することを目的としている。 2021年の研究では、ビメンチン及びネスチンのアクチン結合と繊維形成の関係を評価することを目的とし、テール領域一部欠失ビメンチン・ネスチン発現ベクターを用いた欠損株の相補試験を行い、免疫染色によりこれらの繊維形成状態を評価した。テール全欠失、C末端1/2欠失、C末端1/4欠失したビメンチンは、細胞内で核近傍に凝集する様子が確認された。さらにテール領域欠失ビメンチンとアクチンの結合を近接ライゲーションアッセイで評価した結果、細胞面積当たりの結合点の数はテール領域の欠失により顕著に減少しており、ビメンチンの凝集と結合点の減少に相関があることが確認された。以上より、ビメンチンのテール領域が欠失することでアクチンとの結合能が失われ、繊維展開不能となったビメンチンが凝集することが明らかとなった。同様にテールのC末端1/2領域を欠失したネスチンも核近傍に凝集することがわかり、近接ライゲーションアッセイの結果においても、テール1/2欠失ネスチンとアクチンの結合点が減少することが確認された。このことから、ネスチンにおいてもアクチン結合部位の欠失により凝集塊が形成されることが明らかとなった。アクチン結合は核にビメンチン・ネスチンが凝集することを回避するための機能だと考えられるが、我々は細胞骨格構造を維持する機能でもあると考えており、中間径フィラメントに共通する機能だと推察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転写関連因子を捕縛する中間径フィラメントの繊維展開に、テール領域によるアクチン結合が重要であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
中間径フィラメントのテール領域における共通配列を探索し、アクチン結合ドメインを同定する。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナ禍で実験が停滞したため、消耗品使用量が少なく、また旅費が発生しなかった。2022年度は計画どおり予算を執行する見込みである。
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Research Products
(3 results)