2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K22092
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 連携研究室付 (40357661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 彩奈 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (00778293)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 中間径フィラメント / 転写因子 / 転写制御 / 細胞 / ビメンチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ビメンチン繊維に捕縛される転写抑制因子を標的として、独自に開発してきたナノニードルと原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、細胞内の捕縛分子を検出する手法を開発し、中間径フィラメント(IF)による転写制御機構を解明することを目的としている。2022年度の研究では、捕縛された転写因子の放出に関するIF―アクチン繊維結合に注目し、テール領域に存在すると考えられているビメンチンのアクチン結合ドメインの同定を目的とした。AlphaFold2を用いて構造予測を行った結果、ビメンチンのC末端側17残基に存在するβシート構造が、III型IFのテール領域の共通の構造であることが示唆され、アクチン繊維との結合に重要なドメインであることが推察された。マウス乳がん細胞由来のビメンチン欠損株を用い、このドメインに変異を導入した遺伝子による相補試験を行い、ビメンチン繊維の細胞内での展開を確認することにより、アクチン繊維との結合を評価した。その結果、βターンをアラニン置換した遺伝子を導入した場合では、正常なビメンチン発現が認められた一方で、βターンに欠失変異を導入した遺伝子を導入すると、細胞内でビメンチン繊維は展開出来ず、凝集塊を形成した。AlphaFold2による構造予測からβターンの欠失により、βシート構造が崩壊することが示唆され、ビメンチン-アクチン繊維結合にはビメンチンテール領域のβシート構造が重要であることが示唆された。同様の構造を持つIII型IFはテール領域のβシート構造を含むドメインでアクチン繊維と結合するものと推察される。研究期間全体を通じて、ナノニードルとAFMを用いたIF捕縛転写関連因子の検出手法開発に成功した。この結果は、さまざまな細胞骨格に結合するタンパク質を力学的に検出可能であることを意味し、非標識の生きた細胞に対してこれを適用することで、捕縛・放出のダイナミックな細胞内の変化を解析する手法となる。
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Research Products
(4 results)