2019 Fiscal Year Research-status Report
低温溶融・接合が可能な金属鉄ナノ粒子ペースト材料の合成
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19K22095
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 英志 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (90312652)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄ナノ粒子 / 水溶液中合成 / 錯体構造制御 / 低温焼結材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ化により物質は低融点化する。即ち、我々の生活の基盤である“鉄”のナノ材料が出来れば、融点より十分低い低温で構造材(ビルや橋、 工場、車など)を接合可能となり、産業構造を大きく変えうる。しかしながら、広く知られているように、鉄のナノ材料化は達成されていない 。これは、①鉄は酸化しやすくナノ材料化自体が難しいこと、②鉄は安価な材料であり高価格となる様な高度な手法を用いた材料開発では実用 化は困難、なためである。 そこで本研究では、水溶液中での鉄錯体の状態制御を基礎とした金属鉄ナノ粒子の粒子径制御(=融点制御)法を構築し、溶融時の鉄元素を構造 材内部へと拡散させ接合させるための技術開発を行うことで、低温溶融・接合が可能な金属鉄ナノ粒子ペースト材料(金属間接合材料や欠陥部 位の補修・充填剤材料など)を世界に先駆けて開発することを試みることを目的とした。 原料水溶液中において鉄錯体の状態を計算科学を通して制御し、析出した瞬間に表面の還元状態を錯形成で維持することで、粒子径制御された 表面酸化物層の無い金属鉄ナノ粒子の水溶液中合成法の開発に挑戦する。更に、合成した鉄ナノ粒子‐バルク鉄間において、ハロゲン化活性種 により、融点より十分低い温度で表面清浄化と相互拡散をさせ、構造材(欠陥部位の補修・充填剤や部品の接着用材料)として応用すること、を 試みる。 本年度は、水溶液中における鉄錯体の存在(酸化還元含む)状態のpH依存性を、錯生成定数を用いた計算と機器分析(ESI-TOF-MSなど)にて制御することで、還元反応速度を電位により制御することが可能であり、その結果として粒子径をナノレベルで制御可能であることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水溶液中における鉄錯体の存在(酸化還元含む)状態のpH依存性を、錯生成定数を用いた計算と機器分析(ESI-TOF-MSなど)にて制御することで、還元反応速度を電位により制御することが可能であり、その結果として粒子径をナノレベルで制御可能であることを明らかとした。この様に、本年度の目標としていた鉄ナノ粒子のサイズ制御を達成できたことから、上記の区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
ハロゲン化活性剤による表面清浄化・接合過程の確立を行うためには、表面を清浄化した鉄ナノ粒子を水溶液中で合成する事が必要となる。そこで、本年度の開発項目結果に加えて、還元雰囲気下でありながら、表面付着物が無い反応系(水素を飽和させて水溶液反応場など)を構築し、表面が清浄な鉄ナノ粒子を合成する手法を開発する。
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Causes of Carryover |
効率的な使用を心がけた結果として次年度使用額が生じた。次年度、反応場の調整に要する消耗品の購入と機器分析を拡充して行うために必要な分析代金、得られた成果を精力的に発信するための旅費、として使用する。
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