2020 Fiscal Year Research-status Report
簡便なタンパク質構造解析に向けた規則配列化のためのDNA規則的多孔構造創製
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19K22103
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田川 美穂 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (40512330)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | DNA / 自己集合 / コロイド結晶成長 / X線小角散乱 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、タンパク分子を簡便に規則配列させるためのDNA結晶スポンジ(DNA規則的多孔構造)をデザインし、作製している。昨年に引き続き、DNA修飾ナノ粒子結晶を用いて、スポンジ機能を持つ結晶作製に取り組んだ。タンパク分子などのゲスト分子の取り込み効率を向上させるため、今年度は格子定数が大きい(つまり、結合に関与するDNAの長さが長く、ゲスト分子取り込みのためのナノ空間が大きい)結晶作製に取り組んだ。DNA配列を工夫することで、これまで作製が難しかった長さの格子定数で結晶化させることに成功した。 また、ゲスト分子取り込みの方法は二通り考えており、並行して進めている。1つは乾燥収縮によりダイナミックに結晶を収縮させて、再び膨潤することにより取り込む方法。もう一つは、溶液中で溶媒組成を変化させることにより取り込む方法である。前者に関しては、乾燥収縮による構造変化の原理解明を行い、結晶の格子定数のスケールに関わらず等方収縮する条件を見出すことに成功した。後者に関しては、実際にタンパク分子の結晶内空孔への取り込みに成功し、超解像顕微鏡による結晶断面観察にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で、外部施設での実験が実施できないなどの制約はあったものの、計画変更や測定手法を変更するなどして柔軟に進められたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、タンパク分子を結晶内空孔に取り込み配列させられるDNA結晶スポンジの開発を申請時より継続して取り組んできた。申請当初、将来の応用としてタンパク分子の構造解析を想定していたが、応用可能性はさらに広がることが明らかになってきている。DNAナノ粒子結晶内でタンパク分子が変性しにくい性質を利用し、高効率にタンパク分子を封入できるカプセルとして機能させることも考えられる。今年度、超解像顕微鏡による断面観察に成功したため、今後は結晶内部に封入したタンパク分子を定量的に測定できる手法を開発し、封入の高効率化に取り組む予定である。また、更に実用を考えた生物学的応用も考えている。封入分子はタンパク分子に限らず、量子ドット等も考えられるため、DNA結晶スポンジを利用した複合材料創製の可能性も広がる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による実験計画変更のため。
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