2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of clear and transparent infrared light to energy conversion device
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19K22105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 雅典 京都大学, 化学研究所, 准教授 (60419463)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 未利用エネルギー / 赤外光 / LSPR / 透明太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では可視を透過し、赤外光を吸収する局在化表面プラズモン共鳴(LSPR)材料を用いて赤外光をエネルギーに変換する透明な太陽電池を開発する。赤外域の太陽光をエネルギーに変換する技術は、エネルギー問題の解決に大きく寄与する。 現在までに、ヘビードープ半導体ナノ粒子である硫化銅ナノ粒子のLSPRの励起に誘起される新しいキャリア移動機構(PITCT:Plasmon induced “transit” carrier transfer)を応用した太陽光エネルギー変換システムの構築に成功した。PITCTは、遅い緩和チャンネルを作為的に導入することで、従来では速度論的にほとんど進行しなかった熱キャリア移動の劇的な効率化を実現することができる 。これまでの研究成果において、申請者はPITCTを利用する事により、現在までに報告されている材料を30倍以上も上回る効率で赤外線を化学エネルギーに変換することに成功した[波長1100 nmにおいて変換効率4%を実現、J. Am. Chem. Soc. 2019, 141, 2446-2450.]。さらには実現不可能と考えられていた長波長限界(2000~2500 nm)領域の太陽光のエネルギー変換を世界で初めて実現した。更には、赤外光が目に見えないという特性を利用して、赤外光を選択的に吸収する赤外捕集材を活性層として用いる事で窓ガラスと全く見分けのつかない無色透明の太陽電池の開発が可能であることを世界で初めて実証した[Nat. Commun. 2019, 10, 406. 国際出願番号:PCT/JP2017/043191]。 これらの成果は国際的学術誌で発表されると同時に、日経新聞、朝日新聞などの新聞各社、TBSなどのテレビ局、リケラボ、EMIRAなどのwebマガジンなど多種多様なメデイアによって驚きをもって取り上げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は世界最高効率で赤外線を化学エネルギーに変換することに成功しており、長波長限界(2000~2500 nm)領域の太陽光のエネルギー変換を世界で初めて実現した。更には、赤外捕集材を活性層として用いる事で窓ガラスと全く見分けのつかない無色透明の太陽電池の開発が可能であることを世界で初めて実証した。現時点で、高効率の赤外光‐エネルギー変換と透明太陽電池の概念実証に成功しており、研究はおおむね順調に進展してると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で透明太陽電池の概念実証には成功しているが、実際にデバイス作成に成功しているわけではない。今後は、赤外光で発電する透明太陽電池の開発と性能評価に取り組む予定である。透明太陽電池の開発に成功した際には、PITCTによる高効率赤外光‐エネルギー変換を組み込むことで、デバイス性能の向上を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
実験装置の導入の遅れのため予定していた分光測定を次年度に延期した。このため、分光測定に使用する予定であった特殊な基板を購入するための予算を次年度に繰り越した。
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Research Products
(9 results)