2020 Fiscal Year Annual Research Report
Single-cell analysis using a 3D-integrated nanopore
Project/Area Number |
19K22108
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 真楠 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50546596)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | ナノポア / 1細胞解析 / イオン電流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マルチポアとポリイミド被覆ナノポアを融合した新規ナノ構造を用いて、ナノポア法を基盤とする1細胞内物質の1粒子検出法を創成することを目的としている。本年度では、前年度に開発したマルチポアとナノポアで構成される積層集積ナノポアを用いた細胞内物質の検出及び種類の同定を試みた。ナノポア及びマルチポアの直径は60 nmにまで小さくし、大腸菌と枯草菌について、イオン電流計測による細胞内物質検出を実施した。その結果、大腸菌において、印加電圧を1Vまで上げた場合、多数のパルス信号が現れた。そこで、有限要素法による電場分布を調べたところ、当該条件下において、マルチポア近傍には1MV/mレベルの強電場が生じていることが分かり、この電場によって大腸菌の細胞膜が破砕され、細胞内物質が下段のナノポア部で検出されたことが示唆された。また、観測されたイオン電流信号には、階段状の変化を示すものが見られた。これは、4Mbps級の大腸菌のゲノムがナノポアを通過したことを表した特徴的なブロック電流のふるまいと解釈することができた。一方、枯草菌では、印加電圧を1.3Vまで上げても、イオン電流にパルス状の変化は観測されなかった。この結果は、枯草菌は大腸菌と異なり、芽胞を形成することが知られており、恐らく本実験条件下における強電場でも、細胞膜が破壊されなかったものと解釈された。以上のように、積層集積ナノポアによる1細胞膜破壊およびイオン電流計測による細胞内物質の検出・同定に成功した。
|
Research Products
(4 results)