2019 Fiscal Year Research-status Report
異種金属導入スター型ポルフィンの開発と電気化学界面における多点配位制御
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19K22115
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉本 惣一郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (30323067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 正之 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (70264083)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ポルフィン前駆体 / 薄膜形成 / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子機械の研究分野は,回転やねじれなどの分子運動を利用した溶液中でのケミストリーから基板上で分子の動きをナノスケール可視化し分 子の動的挙動の解明へと展開されつつある。超高真空中極低温から室温レベルへの制御へ展開し,より現実的な空間における動作・制御を開拓 ・実現することが重要となる。 本研究では,溶液中において分子の動的な制御を実現するために,基板上に異種金属ポルフィンのスター型5量体を作製し,電解質溶液中, 電気化学的なレドックス制御によりON-OFFシグナル機能を実証する。さらに,スター型5量体ポルフィン上を動くブリッジ分子をデザインし, 室温で分子を駆動する新しい概念を提唱する。
初年度は,ブロモ基あるいはヨード基を有するポルフィリンビルディングブロックをベースとして,有機合成によるスター型5量体ポ ルフィンの合成に取り組んだ。またこれと並行して,スター型5量体ポルフィンナノ構造上に配位する分子をデザイン,合成を行う計画をたて合成をスタートした。しかし,ビルディングブロックとなるポルフィリン誘導体の合成上の困難さが判明し,提案した5量体の構造を得るにはビルディングブロックとなるポルフィン前駆体のデザインの変更が必要であることに考え至った。官能基を含めたデザイン変更および合成ルートの見直し,推敲を重ねて,修正スター型ポルフィン5量体を再デザインした。
一方,原子間力顕微鏡の高解像スキャナを導入し,ポルフィリンをはじめとする金属錯体分子の薄膜形成をモデルにして,装置のエージングを兼ねたトライアルを実施し,キャストによる薄膜形成のポイントや測定における注意すべき点など,経験を積んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していたビルディングブロックとなるポルフィリン誘導体の合成に難儀したため,骨格は同じであるが周辺官能基等を変更しデザイン修正した5量体ポルフィンの分子合成に計画変更をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
前駆体となるポルフィリン分子の合成は市販されているものをベースに再デザインし,合成上のタイムロスを極力抑えた。分担者の竹内(物質・材料研究機構)の下へ学生を派遣し,専門家の指導を受けながら分子合成を着実にかつ加速する予定である。学生の合成スキルの向上と併せて本課題の遅れを取り戻す予定であるが,新型コロナウィルス感染症の収束が待たれる。 2020年4月から5月は緊急事態宣言発出のために実験もほぼ停止状態となったが,宣言解除後与えられた環境を最大限に活かして,第一ステップの合成に取りかかっている。
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Causes of Carryover |
前述したように,目的とするスター型5量体分子の最終デザインの変更に伴い合成計画に変更が生じこと,加えて,新型コロナ感染症感染拡大のために3月に予定していた国際会議が延期となり,出張が取り消しとなった。
このため,初年度は当初計画したよりも予算の支出が抑えられた。また,3月に予定されていた国際会議は2021年3月に一年延期となったため,来年の会議出張費として使用する。
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