2019 Fiscal Year Research-status Report
Electric control of catalytic association chemical reaction for adsorbed molecules on MOS-structured surfaces by applying gate voltages
Project/Area Number |
19K22130
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
服部 賢 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (00222216)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 電子制御 / 会合反応 / MOS構造 / 表面吸着分子 / ゲート電圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属-酸化物-半導体(MOS)構造の金属層と半導体の間にゲート電圧を印加し、半導体から金属層にトンネルした電子や正孔のエネルギーを、金属層表面に吸着したガス分子の触媒会合反応に誘導することに挑戦しています。電子励起による吸着分子の触媒会合反応は、反応で生じる新たな分子の脱離の測定より検証し、また反応ダイナミクスの理解のため、中間過程で生じる発光を同期測定することにより、エネルギー移動の機構を検討する計画です。 当該年度は、新規PCに脱離計測システム、発光計測システムの構築を開始しました。従来のシステムはWinXPなど旧OS上で構築されていたため、同期測定などの拡張性に乏しく、かつOSサポート終了などの問題が多々問題がありました。そこで新規PC(Win10)に、脱離種検出のための四重極質量分析器(ファイファー社製)制御プログラムの導入(RS232C-USB変換の利用)、ゲート電圧印加制御のための電源(ケースレー社製)制御プログラム(LabVIEW上の自作)の導入(GPIB-USB変換の利用)、計測機器制御のためのデジタル・アナログ入出力制御器AI/AO/DIOの導入(USB接続)を開始しました。同様に、旧OS上で制御されていた発光計測機器(分光器:アクトン社製、検出器:浜フォト社製、プログラム:LabVIEW上の自作)の新規システムへの導入(RS232C-USB/GPIB-USB変換の利用、AI/AO/DIO)を開始しました。これらの導入は信頼性のある同期データ取得のために必須のものです。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規PCの脱離計測システム、発光計測システムは当該年度に構築を終了する予定でした。しかし、測定アプリケーションが旧OS用仕様であり、新規対応のドライバーの入手、新システムに対応したLabVIEWプログラムの構築など幾つか時間がかかる要因が発生したため構築がやや遅れています。 また、従来運用してきた脱離計測装置と発光計測装置は別々であり、同期計測を行うにあたり、脱離計測の真空装置に新たに発光測定用光学系を組み込む必要があります。当該年度にその設計を終了する予定でした。脱離計測にはスキマーを試料表面から1~2 mm程度まで接近させますので、その立体障害を極力受けないように光学系を設計しなければなりません。それを解決する有力な手法は光ファイバーの利用ですが、このファイバーの入手などに時間がかかっており、設計がやや遅れています。
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Strategy for Future Research Activity |
問題となっている脱離・発光計測システム(ソフトウェア)の構築や新規光学系設計は、これらに詳しい研究協力者等のサポートを仰ぎながら遂行する予定です。その上でまず先行で、脱離計測システムを新規PCに構築します。これは2020年8月を目途としています。構築後、2020年度は熱酸化Si(001)基板上にPtを数nm蒸着したMOS試料を準備し、真空装置に搬入後、2種類の分子(例えばCO分子とO2分子)を暴露吸着し、ゲート電圧印加による脱離分子種を観測します。もし、吸着した分子とは異なる分子(例えばCO2分子)が検出でき、暴露吸着分子との相関があれば、本研究の第一の目的である電子励起による触媒会合反応に誘導できたと言えます。発光計測システムは2020年度中に完成を目指します。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」で記載しましたように、新規OS対応のドライバーの入手、新システムに対応したLabVIEWプログラムの構築、新規光学系の組込みなど当該年度で行う予定であった事項がやや遅れました。そのため、それらに必要な予算が次年度使用額として生じました。従いまして、「今後の研究の推進方策」で記載しましたように、2020年度にこれらの新システムの構築を行い、かつ当初予定の脱離測定を行うために使用する計画です。
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Research Products
(2 results)