2019 Fiscal Year Research-status Report
Spatial and Temporal Visualization of Ion Conduction in Crystal by STEM Moire Fringe Method
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19K22166
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大島 義文 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80272699)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | モアレフリンジ法 / 歪み計測 / 走査透過電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、走査型透過電子顕微鏡を用いて歪み計測法を確立した。開発した手法は、原理的には、試料の結晶格子と走査線のわずかに違いによって生じたモアレ縞を測定することによって、試料の場所によって異なる格子間隔を高い精度で測定する方法である。この原理に基づいて、母相であるInP結晶に対し、GaとAsの組成を変えたInxGayAs (x=0.56, 0.47, 0.38, 0.25)結晶をエピタキシャル成長した超格子構造を用いることで、この手法で得られる歪み分布の空間的な分解能や測定精度を評価した。 InxGayAs (x=0.56, 0.47, 0.38, 0.25)結晶の格子間隔は、InP結晶と比較して-0.8, 0, 0.8, 2%伸縮している。x=0.47の場合、InxGayAs 結晶の格子間隔は、InP結晶と同じであり、歪みがないことが予想される。 実際には、InP結晶に挟まれたInxGayAs 結晶膜内に成長方向に沿った歪み分布を約0.2%の精度で見出した。この分布は、成長時におけるInP結晶とInxGayAs 結晶の界面に生じた緩やかな組成変化によって説明できた。以上の結果から、開発した手法によって、1nm程度の空間分解能でおよそ0.2%の歪みを計測できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン伝導を検出するための走査透過電子顕微鏡像における局所ひずみ計測法を確立することに成功した。具体的には、異なる元素から構成される半導体界面を4つ用意し、それらの界面における1%以下という小さな歪みを走査線と結晶格子のモアレ縞から測定することに成功している。異なる4つの試料は、元素の組成比から緩やかに歪みの大きさが変わるように作製されており、この緩やかな歪みを上記の手法を用いて計測できたことから、この計測性の信頼性を確認した。この成果は、学会などで発表すると共に、論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、ターゲットとしている材料のモアレ縞から歪み計測を行うため、2軸傾斜を有する走査透過電子顕微鏡ホルダーを開発する。このホルダーは、イオン伝導を起こすため、試料に電圧を印加できる機構も有している。すでに、設計は完成しており、できるだけ早く部品を調達し、ホルダーの完成を早期に目指す。また、このホルダーを用いて、ターゲット試料のモアレ縞を観察する。この研究成果を学会などで発表すると共に、論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
開発している局所歪み計測用二軸透過型電子顕微鏡ホルダーの開発が、設計の変更などに伴って遅れたことによる。令和2年度、このホルダーを完成させ、目標とするイオン伝導の可視化に向けた実験を行う。
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