2019 Fiscal Year Research-status Report
Design of nanostructures to control phothermal effect and phononics under multi-photon excitation conditions
Project/Area Number |
19K22176
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
白幡 直人 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (80421428)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | シリコン量子ドット / 血漿タンパク質 / バイオイメージング / フォトサーマル効果 / 量子サイズ効果 / ナノ粒子 / ドラッグデリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療応用を指向した無毒な水溶性量子ドットバイオマーカーを合成し、当該マーカーに発現するフォトサーマル効果の機能開発を行うことである。2019年度は、1.「シリコン量子ドット(SiQD)におけるフォトサーマル効果の検証」、2.「水溶性シリコン量子ドットと血漿タンパク質の相互作用、の項目について研究を実施した。 1)近赤外発光特性を示すQDサイズ範囲(d=2~10nm)において、3種類の異なる平均粒子径を有するSiQDを作製しフォトサーマル特性を調べたところ、QDサイズが小さくなるに伴い発生する熱量は小さく計測温度は低下した。そのメカニズムをPLの温度依存性をQDサイズに基づき調べたところ、小さなQDでは、LOフォノン描像が破綻していると議論された。それゆえ、熱エネルギーの発生は、光励起電子の無輻射失活のチャンネルを介した再結合によると議論された。PL半価幅が計測温度に依存して変化する挙動を既知のモデルでカーブフィッティングすることで見積もった見かけの活性化エネルギの大きさは,この議論を肯定した。そして、さらに小さなQDではその影響が顕著になった。2)油溶性SiQDの集合体を両親媒性分子で覆いシェル化した~70nmほどのHydrophilic diameterを有する水溶性ナノ粒子を合成した。当該水溶性ナノ粒子に対してアルブミン、グロブリン、フィブリノゲン、トランスフェリンを作用させたところ、アルブミンとトランスフェリンはナノ粒子上へハードコロナを、グロブリンとフェブリノゲンはナノ粒子上へソフトコロナを形成した。また、タンパク質の構造変化についても研究を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)シリコンにおけるフォトサーマル効果は従来バルク結晶体に対して研究が行われており、QDに対しては行われてこなかった。本項目で研究を進める過程で、QDのサイズに依存して熱量を制御できることが明らかになった点は新しく、現在国際ジャーナル誌へ研究成果を投稿中である。 (2)ナノ粒子のタンパク質コロナに関する研究を進めるために、4種類の血漿タンパク質について相互作用を調べた。さらにタンパク質の構造変化について明らかにするところまで研究が進められた。これらの成果は、現在国際ジャーナル誌へ掲載すべく論文投稿中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
SiQDを細胞表面へデリバリーし、光励起条件下でのフォトサーマル効果について調べる。この実験で得られた効果とSiQD-抗体を細胞表層にデリバリーした系で観察される効果を相互比較することで、QDの細胞への接合様式の違いから細胞活動に及ぼす影響度について議論する。さらに、当該影響度については、結合様式の違いだけでなく、QD表面の化学的な性質の違い、物理構造的な違いについても検証し、研究を深める。
|